店内にディスプレイしていたフィルムカメラ達をメンテナンスしました。ニコン35ミリ一眼レフ用のaiや非aiといったニコンFやF2、ニコマートなどに使われる1970年代の古いレンズです。ニコンレンズを分解するのは初めてです。
ai NIKKOR 28mm f2.8レンズ
とにかくカビがびっしり。内側なのでどうすることもできません。超ジャンクレンズです。
フロントからカニ目を使い前玉を外しにかかります。
前玉が外れました。
前玉の内側と中玉の表面はレンズクリーナーで綺麗にしましたが中玉の内側にもカビがびっしり!
後ろ玉を外し、綺麗に。相当力を入れてカニ目で外さなくてはならず結構大変だったので写真撮るのを忘れました。一眼レフ用レンズは外観は大型化していますが中身はライカマウント時代のレンズと大して変わりません。
後ろ玉はこんなに綺麗に。
前玉もこんなに綺麗に。
メカニカルニコンF2フォトミックに装着。
非ai NIKKOR 50mm f1.4レンズ
その後ほかの NIKKORレンズもバラしました。新しめのaiやai-sは比較的簡単でしたが難易度が高かったのが非aiといった古いレンズ。ネットで探しても肝心な部分がブラックボックスで手探り状態でしたので備忘録として残します。
50mm f1.4の非ai NIKKORレンズ。カビだらけでほとんど使いものにならないジャンクレンズ。
こちらのタイプはカニ目ではなく、ゴムの吸盤で外します。
外れましたので綺麗にします。
前玉は綺麗になりましたが中玉がカビだらけで致命的に汚れています。
後ろ玉を外しますが、まずは横のネジを3箇所外して、
後ろ玉を抑えている部分の黒いマウント金具を外します。
さらに銀色のマウントリングパーツをします。5箇所ありますが1箇所だけ外れません。このネジは絞りを開閉するためのバネが付いているネジで、いくら回しても外れない仕組みになっています。
マウントが外れました。知恵の輪のように一点だけ外れるポイントがあります。
後ろ玉がむき出しになりました。
フォーカスリングを接写側に沈胴させた状態で、一体式の後ろ玉を時計反対周りに回してレンズを取り出します。
全く同じ外観でも年代によって違う構造のレンズがあります。これは難しいタイプです。
取り出した後ろ玉を2つに分解し清掃。固着していて外れない場合もあります。
カビの根源である中玉に行き着きました。この部分は掃除する時、要注意です。絞り羽掃除中に間違えて絞りを操作するバネが外れてしまいました。元どうりにするのにかなりの手間がかかりました。ミクロの作業、例えるならオペでの毛細血管の縫合とでも言うのでしょうか。いっとき諦めかけましたが構造をよく観察理解しマイクロピンセット2本使いやっと復元。おかげで NIKKORレンズ分解組み立てにかなり詳しくなりました。
クリアになった中玉。
カビ一つなく綺麗になったレンズ。
NIKKORの一眼レフ用オールドレンズをお持ちの方でカビでお困りの方はご相談ください。
その他レンズ
こちらはキヤノンFDレンズ。これもカビだらけでしたが分解清掃でピッカピカ。キャノンレンズはニコンに比べて分解が簡単です。レンジファインダーの時代からですがキャノンに比べて難しいのがニコン。
こちらはオリンパスズイコーレンズ群。ニコンより難しいですけど4本分解清掃済み。ズイコーレンズは個体によってコーティングの色が異なり他メーカーに比べて美しい。手前の琥珀色とか特に。オリンパスは昔のペンなどは値段が高いですが35mmは不人気のためか安価です。
レンジファインダー群。キャノンは分解簡単でしたが他メーカーは手付かず。これらの昭和20年代のレンズは手作り品が多く、分解するとシリアル番号が手書きでケガいて彫られているのもあります。古いほどいい素材で作りが頑丈。
80年代の世界最小一眼ペンタックスオート110(ワンテン)。ポケットフィルムサイズのカメラ。フルセットでカタログまであります
オートワンテンはレンズ自体に絞りはなくボディ側で絞り調整する構造。ソニーα7にアダプターを介して接続すると相性が良い。巨大なケラレが発生し個性的に写ります。
アナログカメラは5年位遠ざかっていましたが、レンズの掃除を機会にまた触り始めました。
5年ぶり位に古いカメラ店など行きましたが客層がかなり変わっているのに驚きました。昔のようにおっさんだけの世界ではなくなり年齢層が極端に若かったり、女子や外国人が多かったり、フイルムカメラ流行りなのか特定のボディやレンズも値上がりしている気がしました。