珈琲焙煎の本

ふじや今回は珈琲焙煎の本について紹介したいと思います。国内外の良書限定。

焙煎の本でオススメの書があったらぜひ教えてください!
焙煎自体にフォーカスした本は数えるほどしかない。需要が少ないからね。知らない人にとってはそれぞれ勉強にはなるけど、実際に焙煎をやってみて初めてわかることの方が多い。焙煎教室ではオススメの焙煎本を示してはいるけど、教室用に作った焙煎教材資料の方がはるかに理解しやすいです。全ての焙煎環境理論で解説します。

日本の焙煎の本

日本の焙煎の本
日本語で書かれた焙煎の本。10冊もありません。専門性が高いためか?作っても需要がないためか驚くほど少ないです。

専門性の高い焙煎の本

コーヒー焙煎の本
焙煎の本の中でも専門性の高いグループ。特に「Coffee Fanatic三神のスペシャルティコーヒー攻略本」はこれまでになかった解説がなされており日本の焙煎本では唯一無二の存在。ややわかりにくい箇所もありますが焙煎を日常業務としていれば概ね理解できる内容かと思います。

「コーヒー焙煎の科学と技術」は学術的な検証データが掲載。本というよりは研究論文で、珈琲についての含有成分の分析などが細かく書かれています。入手は困難で16,000円の定価が現在ではなんと約25万円〜150万円(2023年9月現在)のプレミア本となっております。

えー!ありえなくね?なんでそんなに高いの?
内容は論文的なもの。とてもそんな金額の価値はなく焙煎機を買った方がマシです。

最近読んだ本で「やせる! ボケない! メンタルが強くなる! 人生を変えるコーヒーの飲み方」という本ではアメリカ人の医学博士が実際にコーヒーに含まれるクロロゲン酸が人間に及ぼす抗酸化作用が事例とともに紹介されています。この本では、 焙煎されたコーヒーに含まれる成分が人間にどう良い効果をもたらすのかがわかりやすく解説されていて浅煎りの特にケニアやエチオピアの豆はスーパーフードで体にいいことずくめの内容となっております。

「田口護の珈琲大全」「スペシャルティコーヒー大全」は写真や図版が豊富でわかりやすく書かれています。

マニュアル本的な焙煎の本

「カフェバッハコーヒー焙煎の技術」、「珈琲焙煎の書」はいずれも本というよりかは著者の出している焙煎機の解説マニュアル的な部分は、特定の機械環境に偏った内容と感じますが、焙煎の考え方については大変参考になります。

五体の機械
富士珈機の本。内容は富士ローヤルのブランディングマニュアル、カタログ的な本で装丁も綺麗です。富士の焙煎機を使っている人やこれからフジローヤルの機械を買おうとしている人にとってはバイブルとなるでしょう。富士ローヤルの焙煎機を買う時は安易にネットで安いのを探すのではなくメーカーに出向いて試用して買うのをお勧めします。各焙煎機メーカーさんにはぜひこのような物語本を作っていただきたいです。

コーヒー良書

焙煎良書
焙煎についてはそれほどページを割いてはいませんが「THE STUDY OF COFFEE」はコーヒーについて体系立ててわかりやすく解説されています。個人的にはこれまで日本で出版された一般向けのコーヒー本の中ではベストだと思います。

「コーヒーこつの科学」「知りたい食べたい熱帯の作物コーヒー」は同じ著者で、特に絵本のような「コーヒー」はルビ入り小学生向けの内容ですが目から鱗の本で「コーヒーこつの科学」と合わせて読むことをおすすめします。

その他、日本でこれまでに出たコーヒーの本はほとんど持っていますがここでは割愛させていただきます。焙煎教室では受講者の属性に合わせておすすめの本を紹介しています。

コーヒー資格

SCAJマイスター
日本のコーヒー協会の一つであるSCAJコーヒーマイスター資格を受験する際に学習するマニュアル。受講には6万円ほどかかるため一般にはハードルが高いと思います。コーヒーの歴史から産地、流通まで詳しく学びます。焙煎のページでは図解入りで基礎から焙煎機の構造、生豆の化学変化までが書かれていますのでわかりやすい。このマニュアルがあれば日本の珈琲本は必要ないのでは?と思われるほどの充実したコンテンツです。

試験に受かるためには内容を暗記しなければなりません。何ヶ月間か勉強したおかげで珈琲の歴史や流通事情などを覚えたのでためになりました!

海外の焙煎の本

海外の焙煎本
洋書は和訳しなければならないためハードルは高くなりますが日本の本にはない情報が身につきます。まずは近年焙煎本を2冊出しているSCOTT RAO/アメリカの本を紹介します。

SCOTT RAO

COFFEE ROASTING by SCOTT RAO
スコットラオの本の中では「RoRを投入から排出までスムースに下げる」という理論を実例プロファイルで紹介し、RoRの重要性を説いています。RoRとは「Rate of Rise」の略で一定時間(珈琲焙煎の場合30秒または1分)あたりの温度上昇率のことです。2014年に出版された「THE COFFEE ROASTER’S COMPANION」に続き2019年出版の「COFFEE ROASTING」を出しています。

Roast magazine

ROAST MAGAZINE
アメリカには他に焙煎専門雑誌「ローストマガジン」があります。季刊誌として年4回発行されていて当店では約5年分ストックしてます。珈琲農園や豆、焙煎など各号ごとに書かれているほか、珈琲機材の広告が入ります。焙煎機なども日本では見かけない機材があるので楽しいです。円安の今揃えようとすると相当なコストがかかりますがローストマガジンをコンプリートしている珈琲店は日本では珍しいでしょう。同じ出版社で出している電話帳のように分厚い「The BOOK of ROAST」は焙煎機の中世の歴史なども紹介されています。

海外の焙煎本
その他、SCAで出している「グリーングレーディング」の本やレキシコンセンサリー資料など。主に生豆鑑定のための教則本です。焙煎について書かれているわけではありませんが国際的コーヒー研究機関「コーヒークオリティインスティチュート」による生豆鑑定の資格であるアラビカQグレーダーのトレーニング時にいただきました。

国内外のほぼ全ての焙煎本を見た上で、富士やギーセンの焙煎機を買って自分で色々使い倒した上で作ったよ。こんな感じのデータです↓。

焙煎機の種類

熱の伝わり方

コーヒー焙煎の勉強会

ギーセンジャパン
9月にギーセンジャパンにてプロファイルを共有しながら焙煎した豆をプレゼンテーションするという機会がありました。去年ギーセンの焙煎機を買う際にそうした場をいずれ作ると聞いていたのでさっそく参加しました。参加資格は業務として日常焙煎に関わる者。

会の目的は「自身の焙煎手法の言語化と他の焙煎者の焙煎手法の共有により新たな焙煎手法のきっかけを作る」というこれまでになかった趣旨の場でした。ナチュラル精製の豆を煎りを浅めにして持参するという条件で8名が参加しました。
ギーセンジャパン
他の焙煎者のプロファイルと焙煎豆のカッピングができ、非常に有意義で素晴らしい勉強会でした。本を読むよりも他の焙煎者のプロファイルと話を聞いて実際にカッピングした方が面白いし最高の実践の場でした!

ギーセン6kg機や富士5kg機などの参加者でしたが同じ2kg機ユーザーがいませんでしたので同じ環境の焙煎者がいればもっと良かったと思いました。