SCA(スペシャルティコーヒー協会)の「ブリューイングチャート=珈琲抽出管理チャート」は、コーヒーの抽出濃度Total Dissolved Solid(TDS)と収率Extraction Yield/Percent Extraction(EXTorEY/PE)*を視覚的に示し、理想的な味わいを得るための指標となるツールです。
*収率は、ブリューイングチャートではバージョンごとに同じ意味を様々な呼び方で表現しているためこのページではPercent Extraction「PE」で統一します。
🔍 ブリューイングチャートの基本構造
- 縦軸(TDS):抽出液中の溶解固形分の割合(%)を示し、コーヒーの濃さを表します。
- 横軸(PE):コーヒー粉から抽出された成分の割合(%)を示し、抽出の度合いを表します。
- 理想的な範囲(ゴールドカップゾーン):TDSが1.15~1.35%、PEが18~22%の範囲が、バランスの取れた味わいとされています。
📊 チャートの活用方法
- TDSの測定:コーヒーの濃度をTDSメーターで測定します。
- 抽出率の計算:TDSと使用したコーヒー粉の量からPEを計算します。
- チャートで確認:測定したTDSとPEをチャートにプロットし、理想的な範囲に入っているかを確認します。
- 抽出条件の調整:必要に応じて、挽き目、抽出時間、水温などを調整し、理想的な範囲に近づけます。
ブリューイングチャートの成り立ち
1950 年代、マサチューセッツ工科大学 (MIT) のアーネスト・アール・ロックハート(Professor Ernest Earl Lockhart)教授の指導の下、コーヒーブリューイングインスティチュート (CBI) が一連の研究を実施し、官能評価テストを通じて多くのコーヒー消費者に好みを尋ね、そのデータから共通の味があることを突き止めました。
この研究では、最適なコーヒーの濃度は、飲料中の可溶性コーヒー成分の1.15~1.35%の範囲にあると結論付けられました。抽出量(収量)も分析され、望ましい抽出量は、抽出に使用した元の重量の18~22%の範囲にあることが判明しました。
これらの値と収集されたその他のデータに基づき、抽出プロセスの一貫性を記録するためのツールとしてSCAブリューイングチャートが作られました。この研究は、良質なコーヒーを淹れるための基礎を築き、珈琲抽出のプロにとってはおなじみのツールとなっています。
チャートの見方
Y).STRENGTH/濃度
グラフの縦軸(Y軸)に位置し、範囲は0.80%から1.60%です。濃度は、抽出後の飲料に溶解したコーヒー固形分の量で表されます。
TDS濃度を定義する式は次のとおりです。
X).EXTRACTION/抽出収率
このページで「EP」と表現している収率のことです。グラフの横軸(X軸)に位置し、その範囲は14%から26%です。
抽出収率は、コーヒー粉のうち飲料に溶解した総質量分率です。様々な成分が水に溶解する速度が異なるため、抽出はコーヒーの風味プロファイルに影響を与えます。
抽出は、UnderDeveloped(未発達)またはBitter(苦味)と表現できます。収率を定義する式は次のとおりです。
Z).Brewing Ratio/抽出比率
コーヒー1杯に対して使用する水の割合です。水1リットルあたりのコーヒーの量で表されます。例えば、60g/Lは、水1リットルあたりコーヒー60gを意味します。最もよく使われる表現は「コーヒー:水」です。例えば、1:15の比率は、水15mlあたりコーヒー1グラムを意味します。日常的にコーヒーを淹れる時はつまり粉13gに対して15倍の湯量195gになります。
ブリューイングチャートには9つのグリッドがあります。番号で解説します。
①Strong – Underdeveloped/濃い – 未発達。
水に溶け込んだコーヒー粉の量が多く、コーヒー粉が十分に抽出されていないため、最終的なコーヒーは濃くて未発達な状態になります。
②Strong/濃い
水に溶けているコーヒー粉の量が多く、最適なバランスの範囲内で抽出されているため、濃いコーヒーに仕上がります。
③Strong – Bitter/濃い – 苦い
水に溶け込んだコーヒー粉の量が多く、抽出に長い時間をかけているため、濃くて苦いコーヒーになります。
④Underdeveloped/未発達
水に溶けているコーヒー粉の量は最適なバランスの範囲内にあり、抽出が不十分なため、最終的には未発達です。
⑤Ideal optimum balance/理想的な最適バランス
水に溶けているコーヒー粉の量は抽出された量と最適なバランスの範囲内にあり、バランスの取れた結果となります。
⑥Bitter/苦い
水に溶けているコーヒー粉の粒子の量が最適なバランスの範囲内にあり、抽出時間が長めに設定されているため、苦味のある結果になります。
⑦Weak – Underdeveloped/弱い – 未発達
水に溶けているコーヒー粉の粒子の量が少なく、コーヒー粉が十分に抽出されていないため、最終的には薄く、未発達です。
⑧Weak/弱い
水に溶けているコーヒー粉の粒子の量が少なく、コーヒー粉が最適なバランスの範囲内で抽出されているため、最終的には薄いです。
⑨Weak – Bitter/薄い – 苦い
水に溶けているコーヒー粉の量が少なく、抽出に長い時間をかけているため、薄くて苦くなります。
ブリューイングチャートの使い方
このチャートを活用する際にまず念頭に置くべきことは、コーヒーをどの領域に収めたいかを明確にすることです。
例えば、珈琲を理想的なバランスゾーンに収めたい場合、このチャートには4つのコーヒーと水の比率、つまり水1リットルあたりコーヒー65グラム、60グラム、55グラム、50グラム、つまりそれぞれ1:15、1:17、1:18、1:20の比率があることが示されています。
しかし、コーヒーと水の関係は4種類あるため、どれを採用するかを決める必要があります。理想的な最適バランスポイントに可能な限り近づくことが求められます。1:18の比率で抽出したいと決めた場合、このデータがあれば、使用するコーヒー粉と水の量を決めることができます。
コーヒー豆を挽き、93℃±3℃のお湯を使用し、抽出します。抽出が完了したら、秤で抽出された重量を測り、濃度(TDS)を測定します。
すべてが正しければ、コーヒー液の濃度は1.20%~1.30%、抽出率は18.5%~21.7%の範囲になるはずです。もし外れている場合は、希望の範囲内になるまで調整する必要があります。
濃度は、専用の電子機器を用いて、総溶解固形分(TDS)、ppm(百万分の1)単位で測定されます。日本ではアタゴ社製がポピュラーですので使っている方も多いかと思います↓。
TDS測定では、何が溶解しているかではなく、単に溶解している物質の量だけを測定します。
溶解したコーヒー固形分には、クロロゲン酸、カフェイン、そしてクエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸が含まれます。有機酸については珈琲の酸についてページをお読みください。
これらの化合物はコーヒーの香り、風味、質感に影響するものです。
抽出率を高くしたり低くしたりすることで、豆によってはコーヒーの味が良くなる場合があります。
抽出調整
コーヒーが望ましいパラメータ内に収まるように抽出を調整する必要があります。抽出を調整するのは、考慮すべき変数が多く、非常に難しい作業です。
次に、コーヒーの味をより良く修正または調整するための変数について説明します。調整を行うと、チャート上でコーヒーがどの領域にあるのかを確認できるはずです。必要に応じて何度でも調整と評価を繰り返します。一度に調整する変数は1つだけにします。
挽き目
挽き目は、コーヒー豆と水の接触面積と抽出時間という2つの要素に影響します。細挽きのコーヒー豆は水との接触面積が広く、中挽きのコーヒー豆よりも抽出時間が長くなります。細かいほど濃度は上がります。
抽出時間
抽出量はコーヒーと水の接触時間に比例します。
コーヒーが水と接触する時間が長いほど、抽出される成分量が多くなります。抽出時間が長すぎるとコーヒーが過剰に抽出され、短すぎると抽出不足になります。
コーヒーと水の比率
お好みの濃さに合わせて、コーヒーと水の比率を増減できます。
湯温
湯温は、抽出されるコーヒーの量に影響します。推奨温度は約93℃±3℃です。
撹拌
アジテーション。抽出工程における撹拌の強さや量によって、抽出速度が変わります。
水質
水には大きく分けて硬水と軟水の2種類があります。水のTDS*とは別です。硬水はミネラル(カルシウム・マグネシウム)含有量が多く、軟水はミネラル(カルシウム・マグネシウム)含有量が少ない。水の四大ミネラルであるカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムは成分抽出に影響します。
*左アタゴ:珈琲のTDS計/右ハンナ:水のTDS計〜例えばSCAのカッピングレギュレーションでは水のTDSを目安にします。珈琲液を測るアタゴのTDS計とはまた別で水の濃度を測ります。ただし、硬度とはまた別の話になります→硬度80mg/TDS100ppmの水と硬度20mg/TDS100ppmは同じTDS値であっても珈琲抽出は違ってきます。アタゴもハンナも筐体が同じでも中身の異なる機種があります。どれを買っていいかわからない方は当店の「水の教室」や「抽出セミナー」で聞いてください。また既に持っている方でも校正や保管方法がわかっていないと壊れます。高価な電子機器ですので使い方や保管についても希望があれば教室内で教えます。
水質と珈琲の関連性は難しいです。他の要素との組み合わせや人にもよると思います。焙煎度合いが浅い場合の硬度抽出は「水の硬度とアルカリ性」ページに解説しています。ライト、ミディアム、ダークローストの3種類での比較は「重炭酸イオンとは?珈琲は水の料理です」ページにAIとの対話でなるべくわかりやすくまとめています。
最近ではブリューイングチャートが可視化された抽出アプリもあります。スケールと秤が連動しており、日常のコーヒードリップに使いやすい。興味のある方はザグリ珈琲の教室で希望があれば体験できます。
SCA準拠のカッピングだとアラビカ8.25g/150mlですので約1:18。濃度は次の写真の通りです↓。
SCAカッピングプロトコルでは挽き目も決められています。SCA準拠カッピングメッシュ
最新SCAブリューイングチャート
2019年に改訂された最新チャート[Version3]ではBrewing Ratio/抽出比率が珈琲粉の重量からレシオ表示に変わっています。濃度は1.35%から1.45%に、抽出比率レシオは1:15から1:14にまで拡大されています↓。
以上、コーヒーブリューイングチャートは珈琲抽出にとって重要なツールであり、コーヒーに含まれる総溶解固形物の量、抽出率、その他がコーヒー液に様々な影響を与えるのがお分かりいただけたでしょうか。
官能評価型ブリューイングチャート
しかし、現状のコーヒーブリューイングチャートでは味の複雑さは「UnderDeveloped(未発達)とBitter(苦味)」という2つしかありません。明らかに、チャートの改訂が必要です。ここからはSCAの記事を翻訳しながら書いたものになります。
従来のブリューイングチャートの問題点解決目標達成に向けて、カリフォルニア大学デービス校コーヒーセンターは、コーヒー科学財団およびブレビル社と提携し、従来のブリューイングチャートの改訂と拡張に取り組みました。主な目的は、一連の詳細な「官能評価」実験を行うことでした。このタイプのテストでは、訓練を受けた(専門の)パネリストに、「スモーキー」、「シトラス」、「苦味」など、様々な風味特性の強さを評価してもらいます。適切な官能評価基準を含むWorldCoffeeReserchテイスティング用語集をパネリストに学習させることで、抽出されたコーヒーに含まれるそれぞれの風味特性の強さを0から100のスケールで評価できるようにしました。
異なる産地のコーヒーは風味特性が大きく異なります。そこで、まずは代表的な「クリーン」なウェットプロセスコーヒーであるホンジュラス産を選びました。予備実験では、このコーヒーを異なる焙煎度(浅煎り、中煎り、深煎り)で焙煎し、その後の実験では、焙煎度を一定に保ちながら抽出温度を系統的に変化させました。すべての抽出において、Curtis G4業務用コーヒーメーカーを使用し、「ウォーターパルスデューティサイクル」を調整することで、特定の抽出比率で異なるTotalDissovedSolids(以降TDS)値とPercentExtraction(以降PE)値を実現しました。私たちの目標は、専門家パネラーが、古典的なコーヒーブリューイングチャートの9つの主要ゾーンそれぞれでコーヒーを評価することでした。
9種類の対象コーヒー、1種類の抽出温度で3種類の焙煎度、1種類の焙煎度で3種類の抽出温度、30種類の風味特性、12名のパネラーによる3回のテイスティングを行い、最終的に58,000件を超える官能評価データポイントと、それに対応する各コーヒーのTDSおよびPEの物理的測定値を取得しました。これは膨大なデータです!重要な課題は、主要な傾向を明確に伝えることです。ここでは、取得するデータの種類とその分析方法を示すことに焦点を当てます。
TDSとPEという2つの異なる変数を体系的に変化させたため、特定の風味特性の強度を示す3Dプロットを作成できます。次の図、Figure-2Aは、ミディアムローストの苦味の結果を示しています。2つの横軸はTDSとPE、縦軸は知覚される苦味の強度で、各データポイントは3回の反復試験における12名のパネラー全員の反応の平均を表しています。
ミディアムローストの苦味の結果。各泡の列は、変数(TDSとPE)の異なる組み合わせを表し、列上の泡の高さは、サンプルの苦味の程度(苦味の強さ)を示しています。
「応答曲面法」(以降RSM)を用いて統計的に有意な傾向を特定します。立方体の中央を通る色付きの平面は、データポイントに「最も適合する」モデルを示しています。この場合、苦味はTDSとPE(奥の赤い「ピーク」)の両方で増加するという全体的な傾向がより明確に確認できます。
上図は、RSMの2次元等高線図を示しています。地形図の等高度線と同様に、「等強度線」は強度が等しい場所を示しています。これは、苦味がチャートの右上領域でピークに達していることを示しており、これはロックハートのオリジナルのチャートと一致しています。
この表現は少しわかりにくいように見えるかもしれませんが、実際には統計的に有意な傾向が潜んでいます。その傾向を見つけるために、「応答曲面法」または RSM と呼ばれるフィッティング手法を使用するのです。RSM 手法は、事実上、通常の2次元プロットで「最適な直線」を見つける手法の 3 次元バージョンですが、一連の2D データ ポイントを通る直線ではなく、3D データ ポイントのクラウドを通る平面をフィッティングする点が異なります。
図Figur-2A のデータに対応する RSMフィッティングを図 Figure-2B に示しました。ここでは、一般的に苦味は TDS と PE の両方とともに増加する傾向があることがより明確にわかります。この傾向をさらに明確に示すために、代わりに等高線プロットを使用して RSM 平面を表すことができます (図 Figur-2C)。等高線プロットは地形図に似ており、強度が等しい「等強度」線を示します (地形図が等高度の線を示すのと同様です)。
この図は、苦味がチャートの右上領域、すなわちTDSとPEが高い領域でピークに達することを非常に明確に示しています。重要なのは、この結果がロックハートの元の図と定性的に一致していることです。
追加の等高線図: ここではまとめて表示されていますが、各等高線図は、それが表す特定の属性を表す小さなミニチャートと考えることができます。縦軸はコーヒーの濃さ (TDS)、横軸は抽出度 (PE) を表します。
左上の等高線図は、PEと TDS の両方が増加すると、この焦げた木や灰Burnt-wood/ashyの強度が増すことを示しています。これはすべての属性に当てはまると考えたくなりますが、他の3つの図は異なることを示しています。
左下は、TDS が増加し PEが減少すると酸味Sournessが増します (つまり、コーヒーを濃くするほど、または抽出量が少ないほど、酸味が増します)。
右上は、PEが増加し TDS が減少するとダークチョコレートDark Chocolateの風味が増します (つまり、抽出率が高く TDS が低いコーヒーは、ダークチョコレートの風味が最大になります)。
そして右下は、TDS とPEが低いときに甘味Sweetnessが最大になり、これは焦げた木や灰の風味とは正反対です。
ただし、苦味だけに限定されるわけではありません。統計的に有意な RSM プロットを多数取得しました。さらに4つの代表的な RSM 等高線プロットを図 Figure3 に示しました。
まず、焦げた木/灰のような香り (左上) から始めると、全体的な強度は苦味よりも低いものの、TDS とPEの両方とともに増加するという点で、苦味と非常によく似た挙動を示すことがわかります。対照的に、酸味は全く異なる挙動を示すことがわかります (左下)。酸味の強度は TDS とともに増加しますが、PEとともに減少するため、グラフの左上隅でピークに達します。ここでも、この結果は ロックハートの結果と定性的に一致しています。「未発達」は酸味のある風味を伴うと解釈されることが多いためです。
測定したフレーバー特性のほとんどは、苦味や酸味と同様に、TDSとともに概ね増加しました。驚くべきことに、一部のフレーバー特性はTDSとともに減少しました。重要な例は甘味(右下)です。ブラックコーヒーの自然な甘味の強さは、実際にはTDSとPEの両方とともに減少し、甘味の強さのピークはグラフの左下にあります。
この結果は、TDSと知覚される甘味の間に逆相関があることを示した実験と一致していますが、従来のブリューイングチャートの文脈においては全く新しい情報を提供しています。最後に、一部の焙煎では、ダークチョコレート(右上)のように、TDSとともに減少する一方でPEとともに増加するフレーバー特性がいくつか見られました。この例では、ダークチョコレートの強さはグラフの右下隅にピークがあります。
甘味とチョコレートの両方の例から、元のグラフにおけるTDSに対する「強い」と「弱い」の垂直的な区分は、一部のフレーバー特性については誤解を招く可能性があることが示唆されています。なぜなら、実際にはTDSが低いほどフレーバー特性は強くなるからです。
焙煎度合いに焦点を当てた最初の研究結果は、Journal of Food Science 誌に掲載されました。そこでは研究結果を強調しており、ここで示したのは氷山の一角に過ぎません。現在、さらに多くのデータが科学的な検証を受けており、また、コーヒー コミュニティーで使用できるように、すべての風味データを簡潔な形式にまとめる作業を進めています。この研究では官能的な記述データに焦点を当てましたが、興味深いことに、TDS およびPEと比較した消費者の嗜好データもあります。これらのトピックに関する原稿は査読中です。しかし今のところは、ロックハート博士が 1950 年代に開拓したアイデアがコーヒー科学の基礎となっているのです。
🆕 新しいブリューイングチャート
コーヒーブリューイングコントロールチャートは、T.R. Lingle (2011) 著『The Coffee Brewing Handbook』(9 ページ)、Specialty Coffee Association of America より抜粋したものです。
ドリップブラックコーヒーの主な官能特性を、TDS、PE、抽出比率の関数として示しています。TDS、PE、抽出比率の座標を使用してコーヒーをチャート上に配置すると、チャート上のその領域に見られる官能特性が予測されます。例えば、TDSが高くPEが低いコーヒーでは、酸味、柑橘系、赤い果実の香りが期待されますが、TDSが高くPEが高いコーヒーでは、苦味、渋み、焙煎の香りが強くなるはずです。
新しい消費者ブリューイングチャートは、2つの消費者の好みのグループに分け(グループ1はピンク、グループ2は緑)て反応面を示し、9段階の快楽尺度に基づく、27種類のコーヒーの好みの度合いをTDSとPEに関連付けています(Cotter et al., 2021)。最初のグループの消費者は、ピンク色のドーム型の反応面の上部に対応する低TDSかつ中PEのコーヒーを最も好みますが、2番目のグループの消費者は、鞍型の反応面のどちらかの端(黄色または赤)に対応する中TDSかつ低PEまたは高PEのコーヒーを最も好みます。
Cotterら(2021)が特定した2つの消費者嗜好グループによる好感度と、ドリップコーヒーの特定の感覚特性の存在を関連付けるペナルティ/リフト分析。
新しい「感覚と消費者の抽出管理チャート」は、コーヒーの主要な官能特性と、2つの消費者嗜好グループ(消費者Iと消費者II)の反応面を、TDS、PE、抽出比率の関数として表示しています。TDS、PE、抽出比率の座標を使用してチャート上にコーヒーを配置することで、そのコーヒーが持つべき官能特性と、本研究の2種類の消費者がどのように好むかを知ることができます。
新しいセンサリーブリューイングコントロールチャートの簡素化版です。特定のコーヒーの官能特性をTDS、PE、抽出比率の関数として表示し、従来のBCCにおける理想的なコーヒー基準の位置を「クラシックスタンダード」として示します。TDS、PE、抽出比率の座標を使用してコーヒーをチャート上に配置すると、そのチャートの該当領域に示された官能特性が期待されます。
以上ここまでしっかり読んだ方、次の動画にとてもわかりやすく解説されていますのでぜひご覧ください↓。

*CVA(Coffee Value Assessment)とは?SCAが提案する新しいコーヒー評価基準

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