2024年04月27日 21:19最新の情報です

スペシャルティコーヒー

スペシャルティコーヒー

スペシャルティコーヒーとは?

スペシャルティコーヒーってたまに聞くけど何?コンビニやスーパーの豆もスペシャルティコーヒーって書いてあったよ!
個人的にはあまり使いたくないワードだけど一応説明します。スペシャルティでなくても美味しいのはあるし、スペシャルティでも保存や焙煎が適切でないと台無しになる場合があります。

日本でスペシャルティコーヒーというキーワードが濫用されているようなので客観的に詳細にまとめます。

スペシャルティコーヒーは、高品質なコーヒー豆を使用して、厳格な基準に基づいて焙煎・抽出されたコーヒーのことを指します。スペシャルティコーヒーは一般的に、風味の豊かさ、複雑さ、バランスの取れた味わいを持つとされています。

以下に、一般的なスペシャルティコーヒーの定義と特徴をいくつか挙げます↓
  1. 品質基準: スペシャルティコーヒーは、SCAなどの専門機関が定める基準に適合している必要があります。これらの基準は、豆の品種、生育地、加工方法、焙煎度などを評価し、品質の高さを保証します。
  2. 起源と生産: スペシャルティコーヒーは、特定の産地や農園、生産者からの豆を使用することが一般的です。特定の地理的な条件や栽培方法によって、風味や質が向上すると考えられています。また、持続可能な農業やフェアトレードなどの原則に基づいて生産されることも重要です。
  3. 味わいの特徴: スペシャルティコーヒーは、風味の豊かさや複雑さが特徴です。これは、生育地の気候条件や土壌、栽培方法、収穫、精製、焙煎の過程など、様々な要素によって影響を受けます。例えば、フルーティーな香りや酸味、チョコレートやナッツの風味などが現れることがあります。
  4. トレンドと創造性: スペシャルティコーヒーは、常に進化しており、新しい風味プロファイルや抽出方法が開発されています。コーヒーショップやバリスタなどの専門家は、独自のブレンドや抽出技術を通じて、より魅力的なコーヒー体験を提供することを追求しています。

スペシャルティコーヒーの定義や基準は、業界内で議論の対象となることもありますが、一般的には上記のような特徴を持っています。ただし、特定の基準を満たすだけでなく、コーヒー業界の専門家や愛好家によって高く評価されることも重要です。

スペシャルティコーヒーの評価は、専門家によるカッピング(コーヒーの味を評価する方法)によって行われることが一般的です。カッピングでは、香り、味わい、酸味、甘み、鮮度など、さまざまな要素が評価されます。スペシャリティコーヒーは、一般的にスコアが80点以上(100点満点)で評価されることが望ましいとされています。

スペシャルティコーヒーの人気は近年急速に増えており、多くのコーヒーショップやカフェがスペシャルティコーヒーを提供しています。消費者は、高品質な味わいや、生産者への関心、持続可能性への配慮などを重視して、スペシャルティコーヒーを選ぶ傾向があります。

以上が一般的なスペシャルティコーヒーの定義と特徴です。ただし、コーヒー文化や業界の変化に伴い、定義や基準は変動することもあります。スペシャルティコーヒーは、品質と風味に注目したコーヒーの一形態として位置づけられています。

採点基準

日本ではSCAJというコーヒー業界団体があり国内の珈琲会社が加盟する組織です。これはUCC(上島珈琲)が母体で国際団体であるSCAとは別組織です。法人会員、個人会員や店舗会員から成り毎年ビックサイトで「アジア最大のスペシャルティコーヒーイベント」を開催して多くの人で賑わいます。SCAJには私も一時期加盟しており、コーヒーマイスターというトレーニング教育試験を受け合格しました。その時に一瞬体験したカッピングフォームは以下です。COEベースです↓。
日本のSCAJカッピングフォーム

COEとは?

20年以上にわたり、Cup of Excellence(COE)コンテストは、国際的なコーヒー業界における誠実さと透明性の先駆けとなっています。COEコーヒーが受ける評価の厳格です。生産国農家に、彼らの農場の経済モデルを改善するための道具を提供し、彼らの努力と苦労に対する認識と経済的報酬を与えています。〜COE公式サイトより引用

評価基準:COEコンテストでは、通常、以下のような基準に基づいてコーヒー豆が評価されます。

  1. カッププロファイル: 香り、味わい、酸味、甘み、バランスなど、コーヒーの風味特性が評価されます。
  2. クリーンカップ: コーヒーに不純物や欠陥がなく、クリーンな味わいであることが重視されます。
  3. 一貫性と一体性: 豆の品質が一貫しており、豆の種類や生産地の特徴を引き出す一体性が評価されます。
  4. 鮮度と保存: 鮮度の高いコーヒーであることや、適切な保存方法が評価されます。
  5. 持続可能性: 農家や生産者へのインセンティブや持続可能な農業の促進が重視される場合もあります。

採点基準

カッピングの採点は次のカッピングフォームに沿ってスコアリングされます↓。
COEカッピングフォーム

アジアでは韓国や中国などで今年(2023)、COEのセンサリーエデュケーショントレーニングが行われます。4日間のトレーニングに参加することによりCOE基準のセンサリー技術を学ぶことができます。

センサリーエデュケーショントレーニング(SET)は、20年の歴史を通じて蓄積されたCOEの知識への入り口です。SETイベントは、感覚的なスキルと技術的なスキルを向上させたい学生にとって素晴らしい機会です。学生は、より正確性、一貫性、自信を持ってコーヒーを評価する方法を学びます。また、世界のコーヒーコミュニティの仲間たちとの関係を築くこともできます。SETクラスは、公式のCoEヘッドジャッジとSETインストラクターによって指導されます。これらのインストラクターは、学生と共有するために多くの貴重なコーヒー知識を持っています。焙煎業者、小売業者、コーヒー生産者、輸入業者、輸出業者、愛好家の皆さんに、この4日間の集中トレーニングに参加していただくことをお招きします。

参加概要を見る(公式サイト)

Qグレーダーとは?

Qグレーダーとは、スペシャルティコーヒーの品質評価に携わる国際的な専門家のことを指します。アラビカとロブスタの二つQのコースがあります。Qグレーダーは、コーヒーの酸味や甘味、苦味、香りなどの特性を評価し、それぞれの特性を数値化して点数をつけます。この点数は、コーヒーの品質を表す指標となります。Qグレーダーは、国際的に認定されたライセンスを持った専門家であり、品質評価のための標準化されたプロトコルを使って評価を行います。Qグレーダーによる評価は、コーヒー生産者や焙煎業者にとって、品質改善や市場展開のための重要な情報源となっています。Qグレーダー 日本人も少しずつ増えてはいますが、3年ごとの更新があるため日々焙煎とカッピングトレーニングを積んでいないとライセンスを維持することはできません。Qグレーダーはゴールではなく単なる入り口です。

Qグレーダーの歴史背景

1999 年に、ワイン業界が全体的な品質を伝えるために 100 点満点の採点システムを採用したことに影響されて、当時のSCAA (現SCA)は、マルチパート フォームを使用してコーヒーの品質を定量化した数学的スコアリング モデルを開発しました。 同じ頃、ワイン アロマ ホイールに触発されて最初のコーヒー テイスターズ フレーバー ホイールが誕生しました。これは、コーヒーのフレーバーを、コーヒーのフレーバーの簡単な指標となる視覚的に魅力的なツールに整理することを目的としていました。 1997 年、アロマ トレーニング キットである Le Nez du Café が開発され、コーヒー業界にとって便利なアロマ リファレンスのセットができました。 これらのツールは、昔ながらのカッピングルームの伝統的な語彙 (「Rioy」、「Baggy」、「Grady」などの専門用語を使用) をセンサリー科学の新しいアプローチと統合することを目的としており、コーヒーの伝統の進化をもたらしました。

コーヒーのストリクトなグローバルスタンダート

2001 年、コーヒー生産者がコーヒーの官能分析とスコアリングの手法を学び、歴史的にコーヒー価格が低迷している時代に市場支配力とコントロールを強化することを目的としたThe Coffee Cupper’s Manifestoが著されました。 コーヒーのカッピングによるセンサリー分析 は、単純な品質分析手法ではなく、コーヒー市場に力を与える普遍的な言語になる可能性があるというこの考えは、コーヒー業界全体で厳格なセンサリートレーニングを提唱することとなりました。

この頃、新しいコーヒー官能採点システムと形式が考案され、「カップ オブ エクセレンス」と呼ばれるコーヒー コンテストで使用され始めました。このシステムは、全世界的なコーヒー コンテストや受賞コーヒーのインターネット オークションを通じて、コーヒー生産者のエンパワーメントと価値の正当評価を目的としています。

2001 年、新しい SCAA カッピング フォームとプロトコルが開発され、SCAA のコーヒーシステムをさらに発展させました。最初は SCAA で、次に SCAA が設立した Coffee Quality Institute (CQI) と呼ばれる団体で、コーヒーのグレーダーとテイスター教育およびテストするためのプログラムが開発されました。

Qグレーダー プログラムと呼ばれる CQI プログラムは、SCAA プロトコルについて世界中のコーヒー テイスターをトレーニングすることを目的としていました。 このプログラムを通じて、何千人ものテイスターが SCAA カッピング プロトコルと 100 点満点の採点システムを学び、普遍的でグローバルなコーヒー官能評価手法を実践し始めました。そんな訳でグローバルなコーヒー鑑定の歴史はまだ20年程度と歴史は浅いのです。

Qグレーダー3名によって審査を受け基準に達したコーヒーのみQ認証コーヒーと呼ばれます。

採点基準

私が日本でのアラビカQグレーダートレーニング(by Atami)を受けた時は次のようなSCAカッピングフォームでのスコアリングを学びました↓

SCAカッピングフォーム

2024年にロブスタQグレーダートレーニング(by Paul Kim Lab)を学んだ時は次のようなSCAカッピングフォームでのスコアリングでした。それまでロブスタというと麦茶みたいなのしか知りませんでしたが驚くほどフルーティで90点級のファインロブスタ豆をたくさん飲むことができロブスタに対する概念が変わりました↓


ファインロブスタSCAカッピングフォーム

当店の業務焙煎教室ではカッピングフォームの基本的な使い方やCQI準拠のカッピングを簡易的に学ぶことができます。