Qグレーダー取得

ザグリ珈琲では、日々新鮮でグレードの高い豆を提供しています。さらにクオリティの高いコーヒーを目指すためこの度、私(店主「Hideaki Ohtani」)は コーヒーの国際鑑定士資格「Qグレーダー」 を取得しました。この資格は、コーヒー豆の品質を厳密に判断できる専門知識を持つ鑑定士にのみ与えられるものです。


CQI認定 Qグレーダーは、正式にはLicensed Q Graderといい、世界で唯一の国際的なコーヒー鑑定士の資格となります。日本ではあまり馴染みがないですが数日間の日程に渡って行われる厳しい試験(20種類)に全て合格した者のみに与えられるライセンス(免状)です。

日本では単に「Qグレーダー」と呼ばれることが多いですが、正確にはアラビカ種とロブスタ種の2種類があり、CQI〔Coffee Quality Institute〕が認定したアラビカ種/ロブスタ種のコーヒー豆の品質を評価するための国際的に認知されたコーヒー鑑定士のことを指します。私はこのロブスタとアラビカの両方を学び、先にロブスタライセンスを取得しました。

生豆鑑定の様子
アラビカ、ロブスタとも基本的な内容と試験の数は同じですが使用する珈琲豆の品種と一部の味覚と嗅覚の試験内容が異なります。カッピングプロトコルや採点表も異なります。

Qグレーダーとは?

Qグレーダー は、CQI が認定する、世界基準のコーヒー鑑定士資格です。生豆の品質を評価し、スペシャルティコーヒー として認められるかを判断するための専門知識と技術が求められます。世界中でQグレーダーの資格を持つ人は限られており、その取得には厳しい試験が課されます。カッピング(味覚評価) や香りの判別、欠点豆の見極めなど、多岐にわたるスキルが求められるため、合格率も低いことで知られています。日本の資格のように一度取得すれば一生有効なわけではなく3年おきに更新試験が行われ、合格しなければ失効してしまいますのでQグレーダー自体が増えるわけでもなく常に一定割合の有能な鑑定能力を持つ者がキープできるわけです。

Qグレーダーになるための道のり

Qグレーダーの資格を取得するには、焙煎知識カッピング のスキル、コーヒー豆の味や香り、品質に関する深い知識を求められました。試験は非常に厳格でしたが、スペシャルティコーヒーのプロフェッショナル として認定されました。

Qグレーダーが焙煎するこだわりのコーヒー

私共の店では、Qグレーダーとしての知識を活かし、コーヒー豆の選定から焙煎、そして抽出まで、すべての工程にこだわりを持っています。特に、豆の産地や品種、そして焙煎の度合いを適切に調整し、お客様に最高の一杯を提供することを心がけています。鑑定時には焙煎度合いの決まりはありますが、実際にお客様へ提供する焙煎度合いは鑑定時の数値ではなく前後調整した豆になります。

そして当店で提供するコーヒーは、COEオークションロットのほか、スペシャルティコーヒーとして認定された高品質な豆や信頼のおける農園直送の豆を使用しています。さらに、重複した説明にはなりますがQグレーダーとしての知識を活かして、日々丁寧に焙煎し、新鮮な状態でお届けしています。風味豊かなコーヒーを楽しんでいただけるよう、カッピングの技術を駆使して、最適な焙煎と抽出を行っています。

自家焙煎珈琲店だから必要な鑑定能力

私たちの店では、コーヒー豆を厳選し、店内で焙煎することで、新鮮で香り豊かなコーヒーを提供しています。Qグレーダーとして、常に最高の品質を求め、コーヒー豆の状態を一番良いタイミングで焙煎・提供しています。新鮮な豆の香りや風味を最大限に引き出すために、一杯一杯丁寧にドリップしています。

ここまでのまとめ

Qグレーダーの資格を持つ私たちの自家焙煎珈琲店では、厳選されたスペシャルティコーヒーを新鮮な状態でお客様にお届けしています。コーヒーの味にこだわりを持つ方、質の高い一杯を求める方には、ぜひ当店のコーヒーをお試しいただきたいと思います。

今後も、コーヒーの品質に妥協することなく、皆様に最高のコーヒー体験を提供できるよう努めてまいります。

参考までに全10カテゴリーの試験概要を紹介します。全部で20種類ありますが全て合格しなければなりません。

試験概要

General Coffee Knowledge

さまざまな分野においてコーヒーに関する一般的な知識を問う選択式のテストです。筆記試験またはブラウザ上でのオンラインテストです。かつて熱海で受けた頃は紙の問題用紙でのマークシートテスト、最新ではオンラインテストです。

Sensory Skills

舌の味覚の試験です。コーヒー液は使用せず、それぞれのコースで溶液を単体または混合して用います。各溶液の濃度レベルは3段階あり、2種類の試験(①各溶液の濃度順の並び替え ②各溶液の混合液に含まれている味とその味の濃度レベルの違い)が実施されます。アラビカは「酸味、甘味、塩味」の濃度違いの微細な液体の混合率。

Olfactory

嗅覚に関する試験です。コーヒーに含まれることが多い36種類の香り(アロマエッセンス)を識別します。香りのグループ毎に分けて4試験実施されます。ロブスタコースとアラビカコースで、アロマエッセンスの種類が異なります。

アロマキット

Triangulation

1つのトレイ上に並べられた3つのカップから1つだけ異なるコーヒーが入ったカップをカッピングによって識別する試験です。赤い光の暗室で行われます。精製方法や産出地域のグループ毎に分けて実施されます。

ザグリ珈琲暗室カッピングルーム

Organic Acid Matching Pairs

4種類の酸を添加したコーヒー液を、カッピングを通じて識別する試験です。1つのトレイ上に並べられた4つのカップから酸が添加されたものを選び酸の種類を当てます。

Roasted Sample Identification

1つのトレイ上に並べられた3つのカップから、1つだけ異なって焙煎されたコーヒーが入ったカップをカッピングによって識別する試験です。焙煎はSCA基準ロースト、ライトロースト、ベイクドロースト、ダークローストの4種類。

Green Coffee Grading

与えられた生豆(350g)に対して、SCA(ARABICA)/CQI・UCDA(ROBUSTA)が定めるディフェクト豆を見つけ出し、その種類ごとに、コーヒーを等級付ける試験です。

Roasted Coffee Grading

焙煎豆(100g)に対してクエーカー豆を見つけ出し、その個数によってコーヒーを等級付ける試験です。

Cupping

SCA方式(ARABICA)/CQI・UCDA方式(ROBUSTA)に基づき、コーヒーの官能評価をするカッピング試験。精製方法や産出地域のグループごとに実施されます。

Flavor Activ

近年新しく加わった試験です。フレーバーを識別する試験です。コーヒーに含まれる可能性がある14種類のフレーバーを、Qグレーダーとして認識できる能力があるかテストします。
フレーバーアクティブ

グレーダートレーニング修了

私はアラビカ、ロブスタの両方のトレーニングを受け、さらにSCAのセンサリープログラムも受講しましたので長期間に渡る学びの場でした。これまでの人生でこんなに勉強したことは初めてです。

アラビカトレーニングでのCQIインストラクターのPaul KIM先生、SNOW BEANS .LAB(CQI認定[ICP]In-Country Partners)代表NaRa先生との3ショット。時には厳しく、温かく見守ってくれてありがとうございました。サポートのスタッフさんもつきっきりでありがとうございました!
スノービーンズラボにて

ロブスタトレーニングでの大分のCreate Coffee Lab椎原さんとNaRa先生との3ショット。正月にトレーニングが一緒でしたが当時は余裕がなく写真も撮っていませんでしたが今夏は撮れました。
スノービーンズラボにて

SCAのCVA(Coffee Value Assessment)を学ぶ

Qグレーダートレーニングが修了しSCAセンサリープログラムも受講。SCAではCOFFEE SKILLS PROGRAMというトレーニングキャンパスが用意されており、コーヒーを感覚だけではなく理論と科学的側面から追求した学問的知識とトレーニングによって世界基準で学べる機関でもあります。
SCA

BARISTA/BREWING/GREENCOFFEE/ROASTING/SENSORYの五つのカテゴリに分類され、私はこのうちセンサリー部門で学びました。日本で唯一全てのSCAプログラムが学べる公式認定ラボがSNOW BEANS .LABです。
scaprogram

Qグレーダーのコーヒーの品質評価としてSCAのカッピングフォームによるスコアリングはマスターしましたが、CVA( Coffee Value Assessment )方式ではこれまでのコーヒー評価方法の問題点を学びました。新しい評価によるコーヒー豆鑑定はまだ評価方法が確定しているわけではなく過度期ということなので体験です。記入項目が簡素化した分、全体分量は増えましたが主観的な誤差は少なくなる傾向になるのではと感じました。
SCA Coffee Value Assessment Cupping Form

コーヒー評価の未来を担うCVAとは?

近年、コーヒー業界で注目されている新しい評価システムが、SCA*(スペシャルティコーヒー協会)の提案するCVA(Coffee Value Assessment)です。CVAは、従来のカッピング評価に加え、コーヒーの生産背景や経済的価値、持続可能性などを総合的に評価する画期的なシステムです。まだ日本では広く知られていませんが、将来的にはコーヒーの品質と価値を測る新しい基準として期待されています。

*日本のSCAJとは別組織です。

CVAが目指すコーヒーの新しい評価方法

CVAは、これまでの味覚や香りに基づくカッピング評価にとどまらず、コーヒーの生産過程や社会的・経済的背景を考慮することで、コーヒーの総合的な価値を評価します。消費者に提供されるコーヒーがどのように生産され、どのような価値を持っているのかを明確にすることで、持続可能なコーヒー業界の発展をサポートします。

CVAのコーヒー業界への影響

今後、CVAは世界のコーヒー業界全体に大きな影響を与えると予測されています。生産者や焙煎士、バリスタ、そして消費者に至るまで、コーヒーの価値を正確に評価する新しいツールとして、業界の透明性を高め、消費者がより良い選択をできるようになります。特に、持続可能な農業倫理的な生産が重要視される中で、CVAはこれらの要素を評価に組み込むため、未来に向けたコーヒーの新しい基準となるでしょう。

日本におけるCVAの展開と可能性

日本ではまだCVAの認知度は低いですが、スペシャルティコーヒーの品質にこだわるプロフェッショナルやコーヒー愛好者の間で注目が高まりつつあります。特に、持続可能性や倫理的なコーヒー生産に関心を持つ人々にとって、CVAコーヒー評価はこれから重要な指標となる可能性はあります。

まとめ

CVA(Coffee Value Assessment)は、従来のカッピング評価の問題点の解決と改良を加えた新たな評価システムです。コーヒーの持つ多様な価値を評価し、業界の未来を担う基準として期待されます。

CVA Coffee Value Assessmentでは大きく分けて記述「Descriptive」と主観「Affective」評価から成ります。Qグレーダー珈琲鑑定のSCAカッピング評価ができていれば理解は早いかと思いますが「CVA Coffee Value Assessment」の講習を受けただけでは本質的に使いこなすことは難しいのではと感じました。

そしてCVA Coffee Value Assessment は2024年秋現在仕様が決定していません。詳細や資料などはネット公開することは控えさせていただきますがこちらの「CVA Coffee Value Assessment」ページにSCA公式サイトからのカッピングフォームダウンロードやシュミレーターへのリンクを貼ってます。

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