2年以上の長きに渡って作業してきたBSモールトンがようやく試走できるまでになりました。一旦完成です。自転車は乗るよりもいじる方が好きでしたが改めてBSモールトンに乗ってみて、前後サスペンションが効いているシルキーな乗り心地が抜群なためサイクリングもたまにはいいかなと思い始めています。

ブリジストンモールトン

この自転車は分割ができるモデルです。分割するにはリアブレーキと、リア変速機のケーブルを途中で分断する必要があり、純正パーツはステンレスで重いため、半分くらい軽量のアルミタイプに変更。上から見た時に美しくなるように配線。
モールトンの分割ケーブル

リアシフトケーブルのアウター処理。一旦フレームに潜らせて左右交互に出しますが、あまりはみ出さない仕様にするためいろんなパターンで試行錯誤。Vブレーキ用のミニチューブをバイスで曲げてコンパクトに。ここまで組むのにワイヤーだけで2〜3台分は失敗して無駄にしました(泣
bsモールトンシフトケーブル

こちらは逆側。塩ビタイプのクロームアウターケーブルは潜らせる側に、出てくる部分はブレーキチューブに。アルミ製のボーン式アウターケーブルです。細部にまで美しく配線するのがポイントです。20年ほど前に、ノコン製を購入して以来、このボーン式の軽量アウターケーブルのポリッシュばかり集めていたのでようやく有効活用できます。アウターケーブルもステンレス製ですのでかなり重いです。アルミ製のは全メーカー4種類持ってます。
Bsモールトン

シフトケーブルは1.2ミリワイヤー用。ブレーキワイヤーよりもコンパクトな取り回しができます。リアスプロケ、ディレイラーはカプレオではありません。軽量10速、ディレイラーは70年代のヴィンテージカンパヌーボレコードです。現代のメカにも負けないくらい軽く、作られた年代を考えると驚異的な部品です。何よりも細部まで含めたデザインが芸術的で美しい。一度ヴィンテージカンパのパーツを見てしまうと他が目に入らなくなります。ちなみに最新のカーボンカンパはシマノと同じような作りになってしまったため興味がありません。

リアディレイラー

塗装は全部剥がしましたが、フレームのアルミに対してフロントフォークはクロモリです。金属剥き出しだと即錆びます。
BSモールトンフロントフォーク鍍金処理

そこでクローム鍍金を業者に頼もうかなと思いましたが、一部分解できないパーツがあったため色々指示を出していて間違いがあると面倒なため自分で鍍金することに。鍍金手法を調べた結果、比較的簡単にできそうな亜鉛メッキ処理。原料の中国産亜鉛は値段が高いのと、純度がイマイチのようでしたので普通にダイソーなどで売っている単一のパナソニックマンガン乾電池(アルカリは不可)をばらして純度100%の亜鉛を取り出し。
乾電池の亜鉛

試行錯誤を繰り返し3日ほどかかって亜鉛メッキ成功。メッキの金属化学分解にかなり詳しくなりました。洗剤や電池など基本的には身の回りにある材料で完結します。
メッキ

チエーンリングはポタリング仕様で小さい径のを使ってます。とりあえず仮組ですがスピードは出さない主義です。

BSモールトン

ブリジストンモールトン

ニットー製のディスプレイスタンド。実はこのまま走れますが、ペダルが2-3mm干渉するためクランク長を今の170mmを165or160mmに変える必要があります。デザインが本家モールトンのリアフレームみたいです。
ニットーアルミスタンド

仕様諸元
フレーム:塗装剥離後アルミハイパーポリッシュ自家磨き
ヘッドパーツ:純正
フロントフォーク:クロモリ剥き出しに自家亜鉛メッキ処理
フロントサス:アルマイト除去ポリッシュ仕上げ
タイヤ:シュワルベコジャック
ホイール:手組み軽量アルミポリッシュ
ハブ:アルミポリッシュ
ステム:ニットー軽合金NJS
ペダル:三ヶ島RSチタンNJSパネル除去
ハンドル:純カーボン24cmショートカット&カーボン柄アルミブルホーン
ブレーキレバー:DIACOMPEアルミ孔開け軽量加工
前後ブレーキ:カンパニョーロ刻印入りスーパーレコード(70s)
シフトレバー:カンパニョーロ刻印入りコルサレコードカスタム(80s)
シフトワイヤー:カンパニョーロ純正
リアディレイラー:カンパニョーロヌーボレコード(70s)
リアスプロケット:10速デュラエース軽量タイプ
クランク:カンパニョーロコルサレコード(80s)
チェーンリング:カンパニョーロ39t
ピン:カンパニョーロ純正
シートポスト:カンパニョーロ刻印入りコルサレコード(80s)
サドル:ブルックス2022年製C-13カーボン
BB:チタン軸軽量タイプ(130g台)
チェーン:廃盤デュラエース軽量タイプ10S(90s)
アウターケーブル:軽量アルミポリッシュボーン2種
ネジ類:ジョイント逆ネジ以外全てチタン合金製
ペダルも含めた総重量:9.4kg

ブリヂストンモールトンは生産中止になりましたが、ハイエンドモデルのBSM-R2Sが10.6kgだったことを考えると9.4kgというのはかなりの軽量化です。手組み軽量ホイールとブレーキアウターケーブルを軽量アルミボーン式、細かいネジ類を全部チタンに変えているのが功を奏しています。ネジといってもバカにできずネジが全てを左右すると言っても過言ではありません。リアサスのコーン支柱ネジなどはスチール製で結構大きいため重量があります。これをチタンに変えるだけでもかなりの軽量化、その他細かいネジもスチール製やステンレス製のを総チタンに。

全ての純正ネジとワッシャー類。スチール製、ステンレス製で約240グラムあります。フレームジョイントネジなどは支柱ネジよりも重く、ネジやワッシャー全てをチタンに変えることで約100グラムのダイエットに成功します。ワッシャーはさほど強度を要求しないパーツのためアルミの方がチタンより軽ければアルミを使います。チタン軽量化換装セットはご要望があり条件に叶えば販売しますが、電話やメールでは不可です。自転車が好きであればおいでください。話があうようであればです。
BSモールトンのネジ

また、現在は見た目重視で組んでいるため、カンパ製のシートポストやクランク、ブルックスのサドルがカーボンといえども結構重く、それらを軽量タイプに変更するだけで8kg台になります。

前から見たときにアウターケーブルがハート形になっているのもポイントです。

BSモールトン

5/25追伸:
9kgのハードルは結構高く、その後、カーボンクランク、シートポスト、サドルに変更し9kg少し。
カーボンモールトン

他に組んでいる軽量ブロンプトン用、中空軽量アルミクランク、52t軽量チェーンリング、アルミボルト、テーパー止めチタンボルト、世界最軽量チェーンに変えました。
クランク、チェーン

現時点で8.95kgを達成。オリジナルは12.7kg、荷台やマッドガードを取り払ったくらいではこの重量にはなりませんのですごい数値だと思います。まだ若干軽量化の余地はありますがこの辺りが物理的限界でしょうか?もっとも重量がかさむフロントフォークがチタンになれば更なる軽量化が見込めますがオリジナルでワンオフオーダーするとなると相当な価格になりそうです。
bsモールトンカーボン8kg台

5/26追伸:
8.95kg仕様で善福寺川付近を5kmほど試乗。軽くスムーズ、スピードも乗ります。
BSモールトン

リアスプロケットはオリジナルBSモールトンのカプレオ9速ではなく、カスタム10速です。これは群馬県のIKDオリジナル10速デュラ・エース・カスタム・カプレオ・カセット9-23Tをインストールしています。しかしこのフレームにはヴィンテージディレイラーのNOVOレコードがよく似合う。7速くらいの時代の変速機ですけど、調整すればちゃんと10速動きます。
モールトン10速

モールトンサミット2022へ続く