店を作って今年2021年は5年目になります。その後何度か店内改装を繰り返し、最初の頃に比べると内装、珈琲機材類含め全く別物になりましたが、扉は変わっていません。開店当初2016年に一番苦労して作ったのがこの入口周りです。何度も挫折しそうになりやっぱり専門の業者に頼むしかないという状況でしたがなんとか自力で完成させました。特徴は開閉式の扉でして、開いて倒すとそのままテーブルになるようになっています。普段は目隠しになり外からは店内が見えません↓。
開閉式扉

年に2回ある商店街のお祭りの時だけ開き、屋台をするのにちょうど良い作りにしていましたが、コロナ事情によって催されなくなりましたので意味のない作りになってしまいました。そこでスライド丁番という金具を使って外側にガラス戸が開く形式にするべく試行錯誤中です。スライド丁番は主に家具や小箱の蓋の開閉をスムーズにさせる金具で、開く形式が全被せ、半被せ、インセットという3方式がありますがインセット方式にします。理由は閉じた時の外面をフラットにしないと、シャッターが干渉して閉まらなくなってしまうため↓。
スライド丁番

まずは卓上丸ノコなどを使って試作木材切りだし。この卓上丸ノコは優れもの。0.1mm単位での超精密な切断作業ができます。しかも24mm厚ラーチ合板やタモ材のような硬質材でも十分なトルク↓。
卓上丸ノコ

スライド丁番を取り付けるための26mm直径のザグリ作業。木材などに「穴を貫通させずに凹みを作ること」をザグリと云います。店名の由来の一つでもあります↓。
ザグリ作業

最初はラーチ合板24mmで試作しましたが厚すぎて開きませんで失敗。結局20mm厚のタモ材。硬いのでスライド丁番金具の取り付け強度も十分。杉などの針葉樹ではガラスの入った扉の自重に耐えられず金具取り付け部分が破損してしまうでしょう。タモ材は、開店当初棚板に使っていて余った素材の流用です。写真のようにミリ単位での正確な工作精度が求められます。説明書ではザグリ穴と際の隙間は3-5mmの間とのことでしたが5mmでは全くダメで3mmがギリギリベストフィット↓。
木材切り出し

切り出した窓枠材をL字金具などで接続し窓枠として仮組みしました。デザイン的に窓枠はなるべく細くしたいところですが、5mm厚の680mm×445mmの強化ガラスをはめ込むための溝を6mm厚深さ10mmで確保するとして、4隅の接続に6mmダボ接続を2箇所付けるとしての限界値は40mm。上下はタモ材、側面はラーチ合板18mm↓。
扉仮組み

何度か取り付けてやっと開くようになりました。本来は家具の扉など15mm厚ほどの木材を想定しているためか20mm厚の材料では開かず上端はサンダーで削ることによりようやく、0度、45度、90度で開ける構造になりました↓。
開閉式扉

仮組みが成功したため、ガラスを発注しました。納期が10日位かかるとのことなので造作は一旦ストップ。後日再開に続く。