2024年04月25日 16:14最新の情報です

焙煎機の構造

ギーセンW1A図面
ギーセンW1A図面

FUJIROYAL R-101

日本製の焙煎機は富士珈機フジローヤルR-101ロースター(都市ガス半熱風釜2,100kcal/h)の構造。右側のステンレス製の筒はサイクロンで、これは焙煎時に豆から剥がれ落ちるチャフ(*)を集塵する装置です。

フジ1kg機構造図

当店の富士珈機1kg焙煎機の構造図解。

焙煎機について

業務用焙煎機の構造には大きく分けて3種類あります。

1).直火式焙煎機の構造

機種例:富士、ラッキーコーヒー、東京産機など
直火式焙煎機の構造
孔の開いたパンチングメタル釜の下から直接火で炙る方式で、深煎りが得意ともいわれます。豆に火が直接伝わり、チャフごと焦がすイメージ。メッシュホールからの入り込む炎と対流熱(熱風)、加熱されたドラムからの伝導熱、釜全体からの輻射熱によって豆香ばしさが出るともいわれ日本では昔からこの方式で深煎り珈琲として親しまれてきたようです。フジローヤル、ラッキーコーヒーなどの直火式焙煎機が代表的で半熱風や熱風式とはまた異なる独特の味わいが楽しめます。

2).半熱風式焙煎機の構造

機種例:世界3大焙煎機メーカー、ドイツのプロバット、オランダのギーセン、アメリカのデードリッヒ。国産フジローヤル。
半熱風式焙煎機の構造
当店ではこの半熱風式の機械を使っています。比較的小規模な自家焙煎店で使われることが多いですが近年外資系チェーン店のプロバット120kg釜など例外もあります。孔の開いていない釜の下から火をあて、さらに釜の奥から熱風を送り込む方式です。強力な熱風でチャフを飛ばし、豆から剥がして分離します。伝導と対流による加熱方式で、浅煎りから深煎りまで味が作りやすい方式です。国産富士ローヤルでは半熱風、直火が選べますが、プロバット(ドイツ)、ギーセン(オランダ)、デードリッヒ(アメリカ)の小型機は半熱風式だけです。

この中でギーセンのAuto機「W1A、W6A、W15A」だけは風量とドラム回転数を自在に変えることができます。

W1Aの回転目安は次の通りです。
40Hz = 44rpm
50Hz = 56rpm
60Hz = 68rpm

W6AとW15Aは次の通り。
40Hz = 58rpm
50Hz = 73rpm
60Hz = 87rpm

風量は微風〜強風(80Pa〜180Pa)、火力は7,304〜8,096kcal/h。

電気式焙煎機

これまでの説明は熱源がガスの機種でしたが電気式の場合も基本構造は同じと思われます。GIESEN W1には同じ釜容量で電気熱源のW1Eという機種もあります。電気式は卓上式小型のIkawaやOEMのパナソニック、デンマークのIH熱源Bulletなどは小さくてもチャフを分離する機能が付いており電気式(IKAWA)で焙煎したコーヒーを飲んだ経験がありますが豆さえ品質が良ければ美味しく仕上げることができます。日本でよく見かけるシースルーの業務用熱風機電気式は筐体や内部構造の特徴から見てNeuhaus Neotec(ドイツ)社のOEM製品と思われます。時々この機械で焙煎された豆を飲みますが半熱風式とほぼ変わらず美味しく焙煎できるようです。
チャフとは?
*チャフとは豆を焙煎する時に剥がれ落ちるペラペラした薄い皮(シルバースキン)です。チャフは一般的には渋みなど雑味の原因になるともいわれていますが業務用焙煎機の場合はこのチャフをしっかり分離する構造になっています。手鍋やサイクロンのついていない簡易な焙煎機ではチャフごと焙煎しているためそれが味にどんな影響をもたらすかは想像できます。

当店では業務用焙煎機は東京産機ナナハン→富士→ギーセンと使っていますが、焙煎機内部が汚れてきたら配管内部のチャフが取り除きにくくなります。原因は内部金属面や送風ファン羽表面に焼けカスや油分にチャフがこびりつき熱風の流れが詰まってくるためです。豆にもよりますが1バッチ焙煎しただけでもかなりの量のチャフが出てサイクロンに集塵されます。しかし全てのチャフではなく、焙煎機内部にも蓄積されていきます。焙煎が終わった後もファンによって内部を飛び回っているのです。

下の左写真は500g豆を4バッチした状態ですがかなりの分量のチャフがあるのかがわかります。メーカー出荷の状態では本体をプラスネジで留めているため外すのに手間でしたが毎回簡単に取り外して掃除できるように右写真のように改良しました。

個人的には内部のチャフをブロワーなどの別の風圧で完全に飛ばす機能があったら便利かとも思っていますが、とりあえずはマキタのブロワーで飛ばします。ちなみにギーセンW1Aの内部風圧は最大180パスカルにした場合は業務用ブロアー並に強力ですので汚れがこびりつきにくいようですがやはり定期的な掃除は必要です。

フジローヤル1kg機の場合、毎バッチごとにチャフの掃除をすることにより定期メンテナンスの回数がおそらく半分位になった計算です。これは内部ファンや配管内部の汚れがつきにくくなるという経験値からです。–>

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ギーセンプロファイラー

以上、焙煎機にも様々な種類がありますので、普段コーヒーを飲む時は焙煎についてまでは意識しない人がほとんどかと思われますが、どんな焙煎機を使っているかを見定めてお好みのコーヒー豆を探すのも興味深いかと思います。

焙煎教室では焙煎機についての資料をアップデートしました。

電熱の種類
焙煎機の種類
焙煎機の種類