3.粉砕[GRIND]
コーヒー液抽出の要となる珈琲豆粉砕
珈琲は生豆で全てが決まります。次に重要なのが焙煎、そしてグラインダー(=ミル)での豆の粉砕です。当店では珈琲ミルは豆の焙煎度合いと目的とする珈琲液の抽出濃度に合わせて刃の形状と動力性能の異なるグラインダーを使い分けています。
メインのマシンはドイツ製マールクーニックEK43Sです。工業用のほどは大きくなく手頃なサイズのグラインダーで今やどこの自家焙煎店でも見かけるようになりました。定価は60万円と一般家庭で買う人はあまりないグラインダーです。筐体(きょうたい=機器の外側を成すはこ)のデザインがそっくりな日本製のカリタナイスカットミルと間違える人が時々いますが、大きさ、値段、性能とも全く別物です。コンビニ珈琲雑誌写真ではサイズ感が全くわかりませんので当店カウンターに並べたスケールサイズ比較参考画像を掲載しておきます。
マールクーニックEK43Sの鋳鉄製カット刃は眩い光をおび美しい。この頑丈な刃は煎りの浅い硬い豆でも一瞬で砕きます。
EK43は粒度分布が広いと言われますが顕微鏡で撮って確かめました。比較対象がないためなんともいえませんがいずれ粒度を同じくしてマッツアーも比較用に撮ります。
EK43のカット歯仕様に加えて、往年の名機富士珈機製R-440グラインダーを自らレストアして使用。
刃は現行機種の新品に交換しました。いわゆる昔の昭和時代の喫茶店御用達機です。
左のEKのシャープなカット歯に比べてグラインド歯の形状が全く異なります。挽き方もEKが一瞬で豆をカットするのに対して、R-440は歯同士がガリガリゆっくり噛み砕く方式。R-440は残留粉が残りやすいため都度清掃。詳しくはBlOGNEWSでレストアしている様子をアップしています。
刃は現行機種の新品(右側)に交換しまして半世紀ぶりに名機が蘇りました。当然ですが新品の方が刃先がシャープ、左の古い方はかなり丸まっています↓。
同様の構造で、小型の富士珈機製「みるっこ(右端)」もあります。EK43Sの10分の1の価格と動力パワーですがスピードと残留粉以外は遜色ないスペックです。家庭用に購入検討している方、希望があればみるっこでお挽きします↓。
左からエスプレッソ用マッツァー、EK43S、富士ローヤルです。グラインダーは静電気が起きやすく特にEKのような一馬力を超える高速回転モーターのマシンは静電気が半端なく粉まみれになります。当店では外の地面に直接銅スティックを打ち込みアース線による静電気対策にてかなり抑えており半導体工場など静電気NGの場所でも使われる静電気除去機イオナイザー(春日電機製直流送風式除電器 KD-750B)を導入し可能な限り静電気ゼロの挽き豆環境を整えています。飛び散らかる珈琲粉の掃除にかかる手間(*)を考えると超効率的な環境を実現↓。
*1分/日に静電気粉を掃除している場合、年間360分計算として10年で60時間〜実に2.5日間静電気粉の掃除をしていることになりますが実際はもっと無駄に時間を使っていることでしょう。
ドリッパーと珈琲ミル。刃の形状による挽き目、ドリッパーの種類、湯温、様々な要素の組み合わせで同じ珈琲豆でも異なる表情を味わえます↓。