ザグリ珈琲は、東京都・阿佐ヶ谷にある小さな自家焙煎珈琲店です。このたび、代表Hideaki Ohtaniが「CQI最期のアラビカ&ロブスタ ダブルQグレーダー」として認定され、さらに「SCA最初のEvolved Q Grader(EVO-Q)」にも合格しました。共同経営者であるHiromi Ohtaniもまた、CQIの最終認定アラビカQグレーダー、とSCA EVO-Qグレーダーとなり、私たちは“日本最期で最初のQグレーダー認証店”となりました。
試験はCQI-ICP及びSCA認定ラボ「SNOW BEANS .LAB」にて行われました↓
国際珈琲認定機関名称定義
- CQI(Coffee Quality Institute)
- SCA(Specialty Coffee Association)
これは私たちにとってだけでなく、日本のコーヒー業界においても大きな節目となる出来事です。本記事では、Qグレーダーとは何か、新制度EVO-Qの意義、そして小規模ロースターとしての新たな可能性についてご紹介します。
CQI:Qグレーダー制度の終焉と私たちが得た認定の意味
Qグレーダーは、国際的な品質評価基準に基づいて、アラビカまたはロブスタコーヒーの官能評価を行う専門資格です。CQI(Coffee Quality Institute)が長年運営してきましたが、2025年9月30日をもって制度は終了します。10/1からはSCA管轄「Evolved-Q Grader」進化するQグレーダーとなります。
そのため、私たちは“CQI最後の世代”のQグレーダーであり、特にHideaki Ohtaniはアラビカとロブスタ両方の認定を受けたダブルQグレーダーとして、日本における希少な存在となりました。
新しいEVO-Qではアラビカロブスタの区別はなく、ロブスタは外部要因項目に品種を書き込みSalty,BitterCATAがあるだけです。苦労してロブスタライセンスを取得したので複雑な気分ですが先日行われたブラジル豆の焙煎大会の予選課題豆がロブスタで、決勝に進めたのはロブスタQグレーダーであったのも勝因でした。つまり美味しいロブスタの基本を知っていたからなのです。
SCA:EVO-Qグレーダーの誕生と新時代
CQIに代わり、SCA(Specialty Coffee Association)が新たに始めたのが「Evolved Q Grader」、通称EVO-Qです。
この制度は、これまでの感覚評価だけでなく、豆の背景や価値を含めたより包括的な「CVA(Coffee Value Assessment)」に基づいています。
私たちは、このEVO-Q制度の日本国内第1号の合格者となりました。
これは単なる称号ではなく、これからの品質評価のあり方に関わる重要な一歩です。
日本全国から集結したQグレーダーたち
東京、菊川にあるスノービーンズラボにてポール先生指導のもとCVAコースが2025年7月に開かれ全国から集まったQグレーダー全員が合格しました。
ポールキム先生とは?
Paul Kim is an expert in coffee quality control and has been the Director of Paul Kim Coffee Lab since its establishment in 2006. The lab has expanded to 10 branches globally, offering specialized training in cupping and roasting. He has judged in several prestigious competitions, instructed others, and has been an SCA AST member since 2011.
Aグループ
Bグループ
合格の証となるライセンス証書
CQI (Coffee Quality Institute)Qグレーダー
SCA(Specialty Coffee Association)Qグレーダー
CQIのバッチもいただけました。グレーダーになれれば必ずもらえるわけでもなく、日本でもらえたのは初となります。今回ポール先生のCVAコースで合格した人だけもらえたので希少性が高いです↓。
私たちは夫婦で同時に合格しましたので記念にポール先生のサインもダブルでいただけました!
去年SCAセンサリーコースも中級まで合格しています。SCAには他に「ロースト」、「バリスタ」、「グリーンビーンズ」などのコースもあり、初級、中級、上級から成ります。将来的には他のコースもクリアしたいです↓。
SCAにログインするとバナーが表示されるようになります。サイトにも貼り付けました↓。
ダブルQグレーダー記念にポール先生と記念撮影↓。
スノービーンズラボ。厳しい試験の毎日で緊張する場所です。他のQグレーダーラボでも受けたことがありますが一番難易度が高く一度ではパスしませんでした。その分一年間練習できたので良かったと思います↓。
CVAとは?
CVAはコーヒーの風味属性(フレーバー単語)と酸味や甘味のインテンシティ(強度)を把握する客観的ディスクリプティブ(Discriptive)、自身の好みを表現する主観的アフェクティブ(Affective)、外部要素農園情報、品種などエクストリンジック(Extrinsic)、物理的要因ディフェクト等の情報フィジカル(Physical)から構成され、総合的に鑑定できる能力を身につけます。そして講義の最後には試験がありパスしなければなりません。
カッピングフォームはこれまでのSCAから一新されCVAフォームとなり、特にアフェクティブフォームは暗算で数値化するのではなくカリキュレーターでの複雑なポイントシステム。現在アプリによるテストが行われており将来的には一般にも普及するようです。個人的にはSCAのように点数ベースの優劣が想像できなくなるのではとも思ったりもします↓。
SCAではオルファクトリーキットもリニューアルするようです。このキットが欲しいのでSCAコースを最初から受けてみたい気もします↓。
EVO-Q × 小規模ロースターという可能性
私たちは今後、以下のような取り組みを計画しています:
- グレーダー視点での豆選定と焙煎設計
- 品質評価付きの焙煎豆提供(カフェ・店舗向け)
- EVO-Q/Qグレーダー取得を目指す方向けの学習支援
- 水や抽出環境と連動したカッピング講座の開催
小さな店舗だからこそできる、一人ひとりのお客様との向き合いと、世界水準の品質評価を両立した新しいロースターのかたちを提案していきます。
さいごに
Qグレーダーという資格はゴールではありません。これでようやく珈琲店としてスタートラインに立てるレベルになれたのです!
私たちは、今後も日々の焙煎、品質評価、抽出、水の探究を続けながら、「おいしさの理由が伝わるコーヒー」を目指して歩み続けます。
EVO-Q制度やCQIグレーダー制度、鑑定士が焙煎した珈琲豆にご興味のある方は、どうぞお気軽にお声がけください。
阿佐ヶ谷から、世界基準の一杯を。