一杯の珈琲に占める水の割合はご存知ですか?
なんと99%が水なのです。珈琲成分の濃度は1.2%程度なので正確には98.8%が水です。最近様々な硬度の水を使ってコーヒーを淹れるようになり水のテストをしています。CQI鑑定時のカッピング用の水のTDS(ppm値)も厳密に規定されていますから水はコーヒーに於けるもっとも重要な要素の一つなのです。純水は化学式で表すと「H2O」ですが図解だと次のようになります↓。
水の構造は上記のような純水の水分子たちが常に一定量の水素結合し鎖を繋いだ網のような形をしています。拡大して見るとH2O分子が詰まっている割合は35%程度であり、残りの65%は隙間(真空)になっています。水素結合している水分子は短時間で数個〜数十個単位でクラスター(集合体)を形成しそこに鉱物成分が混じり珈琲の抽出水となるのです。
水については「当店の珈琲の水について」ページにも少し書いていますが昔から旅行や地方に出かけては滝や川など水場の写真を記録していました。20年以上前ですが少し水に関わる仕事の経験もあります。昔と違って今では水質を測る器具が身近に買えるようになったので試薬を使わずとも簡単に測定が可能になりました。
阿佐ヶ谷の水について
店では現在は水道水をベースにエバーピュアカーボン繊維浄水器を通していますが、元の取水はどこからか調べているうちに当店のある杉並区は三郷浄水場からの水だというのがわかりました。東京都の水道局ではデータが細かく公開されておりピンポイントに調べられ重宝します↓。
三郷浄水場はここです。杉並区は江戸川水系だというのがわかりました。隣接の他の区域は朝霞や金町など浄水場は複数にわたるようですが水質はどこも似たような数値↓。
さらに江戸川を調べていくと本流である利根川の源流は群馬県の八木沢ダムだというのがわかりました↓。
水の源流をたどる
水道水の源流を巡りたかったのですが群馬県水上ではあまりにも遠いため、渓流釣りや源流にも行ったことのある多摩川上流を目指すことに。昔バイクでも良く走りに行ったので奥多摩は馴染みのある場所↓。
東京都水道局で調べると昨年度の奥多摩付近は阿佐ヶ谷の140ppm前後に比べて水の硬度は63mg/l程度と軟水です↓。
まずは降り立った駅の水道水を測定。ほぼ東京都の公表通りの値で軟水。ちなみに今までTDSメーターやpH計はいくつか試していますがこの機種たちは優秀です(ただし初期校正は正確さが必要)↓。
多摩川上流の河原に降り測定してみると48ppmと軟水。透き通った水↓
多摩川本流に流れ込む源流の一つを目指し山道を辿ることに。グーグルマップを頼りに2時間ほど山の中を歩いたところいつの間にかマップ上では源流が途絶えていましたが実際はしっかり流れていました。GPSはこの通り↓。
所々で測定。軟水、アルカリ性↓。
陽当たりの影響もありますが標高が高いほど水温は低めでした↓。
源流に到達↓。
山中の岩からしみ出てくるいくつもの小さな水が本流に合流していくのです↓。
山の岩盤地層も水の生成には重要なのだと思います。山梨県内の水も同時に他者に計測機器を渡して調べていますが、ほぼ軟水で同じような数値を示しています。以前行った昇仙峡奥地の地層にも似ていますので同じような水質だと推測します↓。
沢を辿りながら何箇所かで測定しましたが全域軟水。低山でしたが標高が高めの場所では凍っていました↓。
源流付近での取水↓。
山の中で飲むコーヒーは格別です!中南米WM系の水の特徴が繊細に出る豆を持っていきました。最高の贅沢です↓。
源流付近は小さな滝などがいくつもあり本当に水が綺麗でした↓。
水について学べる珈琲教室
硬度値は水温も関係してきますのであくまで今の季節の自然の状態での測定です。水質や硬度がコーヒーに及ぼす影響などは当店の珈琲教室をどうぞ↓。
水と珈琲抽出に関する情報は日本ではなかなか学べる場所がありません。ネット非公開ですので大変貴重な場となります。