珈琲抽出用として考えられるミネラル成分の入った7通りの水が出てくる浄水を完成させました。
近年、コーヒーの競技会では、「カスタムウォーター(customwater)」で、コーヒーのフレーバーを最大限引き出すため、競技者自身で水を作成しているそうです。ICPコーヒーラボなどでも浄水器の複数の水を飲んでいるうちに自分でもカスタムウォーターを作ってみたくなりついに実現。
過去に店舗設備施工会社での経験で水回りや冷凍冷蔵庫、水道周りなど店舗に必要な工事や水関連の会社勤務、水草水槽の店舗設営などをしていたことが今になって大変役に立っています!
↑浄水設備全貌。硬水(WHO)、純水、軟水、ナトリウム水、カルシウム水、マグネシウム水、シリカ水、水素水が出てきます。混ぜれば♾️。
浄水器施工の道のり
色々調べ始めているうちに水の化学についてわかってきまして作り上げました。完成した浄水器の30秒ショート動画も作ってみました。
↑珈琲マニアや関係者がよくやってるカスタムウォーターのようにアクアコードなどの試薬類を使わず珈琲店の営業として出せる浄水なのです。
店内に浄水解説パネルも作ったのですが化学式や用語だらけになって専門家でないとわからなくなってしまったのでミニ電光掲示板に原稿用紙2枚分でわかりやすくまとめています。
浄水器はタンクハウジングのみエバーピュアなどの既製品を流用しました。ラベルと中身は別物でカートリッジ交換ではなく再生する仕組みです。持続化エコシステムです。
濾過材は別にオリジナルで作っていまして入出水ストレーナーは水道管用の塩ビパイプをDIY。
接続ジョイントはエアー圧縮工具用の金具を流用。濾過材メンテナンス時に簡単に取り外しができるようにしているところが特徴。水を吸い込む部分は水道蛇口取り付け用ミニ浄水器を利用。
この1ヶ月間ホームセンターには少なくとも20回以上通いました。以前、エバーピュアを施工した頃は水道部品が充実した成城のクロガネヤまで通っていたのですが残念ながら閉店してしまったためコーナンの各店舗へ。水道設備充実でなんでも揃います。ネットで買って失敗した細かいパーツなども全て解決。
取り付けては外しの連続で無駄な部品もたくさん買ってしまいました(泣)が、試行錯誤のおかげで水周り工事の腕と工作スキルが上がりました。浄水施工でお悩みの店舗さんいらっしゃいましたら是非ご相談ください。
水圧計の組み立て。異径バルブの接続ジョイントは一番水漏れが心配される部分。
狭いスペースに、小型とはいえ水が満タンに入ったタンクが複数となると二桁キロの重量になります。しっかり支えられるよう工作してます。
細かいですが取り付けた浄水器タンクを照らすためザグリ加工。貫通させずに木に溝を彫るのを「ザグリ」と云います。店の名の由来の一つでもあります。テープLEDを埋め込みます。光源が直接視界に入らないよう。
電子工作と木工作業と水道施工を同時進行で全部できる人はなかなかいないのではと思います?!
LEDの光を効率よく反射させるため内部はラッカーで銀色に。店内の埋め込み照明はほとんど全てこの加工をしています。
こんな感じで間接照明となります。
水が主役
美しく照らされたステンレスタンクたち。当店の影の主役である水。まるでミニプラント。
上方向にはタンクハウジングを照らすダウンライトも設置。目指したのは焙煎機に負けない美しさ。明るいのでメンテナンス工事もしやすくなります。タンクはそれぞれ独立した止水弁と開水弁ですので個別にろ材交換可能。
浄水は科学の力
私は文字に特化したデザイナーでもありまして数多くの古い書物をコレクションしています。1910年発行今から115年ほど前の化学の教科書の中に水や珈琲の記述を発見しまして、含有している鉱物や珈琲の酸やカフェーンまでもが詳細に測定値として書かれています。
しかし現代のような優れた計測機器のなかった時代はどうやって測っていたんでしょう?
鉱物などの含有量はおそらく試薬類を使うところは変わらないと思います。当店ではカルシウムはシュウ酸フェノールスルホンフタレイン色素を遊離カルシウムイオンと結合させ生成する青色の複合体による色調変化を測定します。マグネシウムはマグネシウムイオンと特異的に反応し着色複合体を形成するカルマガイド色素を利用して科学の力で計測します。
浄水器の一つの計測結果です↓。
ポータブルタイプのTDSとEC、pH計。
イオン交換樹脂↓。
ろ材は化学です。薬棚もLEDで美しく演出。入手できる範囲で化・科学と水の本を集めて自習しているので以前はさっぱりわからなかった水について少しずつ理解し始めています。今当店での会話は化学式と科学用語が飛び交ってます。水については本当に難解ですので学習と実験検証反復の毎日が続きます。
浄水に関しては詳細でわかりやすい解説パネルも作っています。
ケトル置き場湯沸かしスペースは昼光色〜電球色〜高演色からRBG様々な色に変化させることが可能。珈琲焙煎や抽出にとって水はもっとも重要です。ここに光を当てなければなりません。
検証
7通りの蛇口からの水の水質検査を始めました。水素水もこの通り蛇口から出てくるようにしました↓。
簡易測定中の水↓。
カスタムウォーターで珈琲の風味を引き出す方法
浅煎り、中煎り、深煎りに分けてそれぞれの焙煎度合いごとの水の鉱度バランス実験が実現!!。
主題から結論まで長くなりましたが、一つのコーヒーが何パターンもの水で抽出できそれぞれのフレーバー(風味)を引き出すことができるようになるのです。
硬度分析中の水↓。
当店の研究設備では珈琲水の主要成分を計測しております。
あなたの珈琲店の水、大丈夫ですか?水質調査サービスのご案内
水には何が入っているかはわからないといったことをよく聞きますがご自分の珈琲店の水が知りたくありませんか?
珈琲抽出水の些細な違いがわかる方、良質な珈琲焙煎店向けに特化した水質測定サービスあります(どの水を飲んでも違いがわからない人は不可)。
サービスの特徴
食品工場や公的機関向けの水質検査分析センターのように多項目の物質検査ではなく「珈琲抽出に必要な項目に絞っての解析」ですのですので個人珈琲店でも注文可能なリーズナブルな価格設定(27,500-55,000円)です。関西地方など遠方の方を除いてネットや電話、メールでのお問い合わせはお断りします。店舗に直接来店いただきご相談ください。その際、事前に簡単なウォーターセンサリーテストがあります。
申し込みは直接店舗で。
珈琲豆の卸先店舗さんへは水質検査無償サービスも行っております。