↑長野県上高地梓川の水。
一杯の珈琲の約99%は水です。よってコーヒーは必然的に水に左右される飲み物です。ザグリ珈琲のある杉並区の水源は江戸川水系より取水された三郷浄水場を経由した水道水ベースです。カルシウム&マグネシウム含有量は季節によって数値は異なりますが、概ねGH120-140ppmの中硬水の値を示します。
東京都内、関東圏内の水質を独自調査しています。都内でも市区町村の水系によって硬度は全く異なり軟水の地域もありますが概ね120ppm前後と硬度は高めです。私が調べている限りでは関東地方の場合も地域によってまちまちで50ppm前後の完全に軟水の地域もあれば180ppmもの硬水の珈琲店もありました。
都内や関東の井戸水や湧水の場合はだいたい軟水でした↓。
軟水と硬水について
軟水と硬水は「硬度」の値によります。「硬度」とは主にマグネシウムとカルシウムの含有量で、日本では米国の基準が採用されており、「カルシウム濃度(mg/L)×2.5+マグネシウム濃度(mg/L)×4.1」によって算出されます。硬度によってははっきりと味の違いがわかるほどです。
硬度の区分について、WHO(世界保健機関)区分では
「60mg/L未満」が軟水
「60~120mg/L」が中程度の硬水
「120~180mg/L」が硬水
「180mg/L以上」が非常な硬水となっています。
日本での区分は
「100mg/L未満」の場合は軟水
「101~300mg/L」が中硬水
「300mg/L以上」が硬水
です。
軟水、中硬水、硬水ともに、日本での区分のほうがマグネシウムやカルシウムの含有量が多いのがわかります。水が軟水となるか硬水となるかは、採水地の土壌の成分や土壌内での滞留時間で決まります。
日本の地層は、火山が多いことから地層中に火成岩が多くその中でも代表的な花崗岩にはカルシウムやマグネシウムがあまり多く含まれていません。また、河川が短く海まで急勾配な地形が多いため、比較的短時間で地層を流れます。そのため、地下水にミネラルが溶け出す機会が少なくなり、ミネラル分が少なくなる理由から軟水が多いようです。ちなみに何県が軟水か硬水かと断定できるわけでもなく、例えば都内でも入手できる鹿児島県の温泉水は硬度ゼロのものがあったり、鹿児島県霧島の天然水は実測値硬度290ppmと硬水です。
海外の場合はシドニーやサンフランシスコ、ニューヨークなど都市によって軟水の地区もありますが、ヨーロッパの地層はミネラルを多く含む石灰岩が多く、河川が長く海までの勾配も緩やかです。そのため地下水はゆっくり地層に浸透しながら通り抜けていくため、土壌に溶けたミネラルが水の中に溶け出していく理由から硬水が多いようです。イタリアやフランス産の超硬水ミネラルウォーターなどは都内でも入手可能です。当店のお客様で北欧の方がいて帰国の際に計測装置を持たせて測ってきてもらったところ中硬水寄りの水でした。
静岡県忍野八海の水↓。
厚生労働省サイトにカルシウム、マグネシウムについての専門家監修の見解がありますのでこの資料も参考にしてください。
ザグリ珈琲ではエバーピュアカーボンフィルターで二重に濾過し塩素を完全に除去した水に、マグネシウム含有量の多い岐阜美濃白川の河原の麦飯石を通しています↓。
水道水のままでは残留塩素反応あり↓。
ザグリ珈琲店舗の水質データ↓。
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東京都の浄水設備資料より抜粋編集↓。
東京都の浄水施設の紹介
河川などから取水した水(原水)を安心して飲むことができる水道水にするため、浄水処理を行っているのが浄水場です。水道水の製造工場とも言えます。水道局の浄水場は、1日684万立方メートルの水道水をつくることができる施設能力を持っています。
ザグリ珈琲のある杉並区の三郷浄水場(日量110万立方メートル)
杉並区、品川区、渋谷区などを網羅します。江戸川から取水しています。金町浄水場に続き、平成11年3月からオゾンと生物活性炭を使った高度浄水処理を導入し(第一期施設)、平成25年10月に稼働した第二期施設とあわせ、現在、日量110万立方メートルの全量に高度浄水処理を導入しています。
東京都のその他の区域
金町浄水場(日量150万立方メートル)
江東区近辺の水です。近年外資系の有名珈琲店などが進出している地域です。江戸川から取水しており、かび臭対策として昭和59年度から粉末活性炭処理を行っています。また、平成4年6月からは、オゾンと生物活性炭を使った高度浄水処理を導入しました(第一期施設)。続いて、平成8年4月に第二期施設が、平成25年4月に第三期施設が稼働し、現在、日量150万立方メートルの全量に高度浄水処理を導入しています。
朝霞浄水場(日量170万立方メートル)
新宿近辺の水です。利根川及び荒川の水を、秋ヶ瀬取水堰から取水しています。
また、東村山浄水場との間に原水連絡管を設置し、利根川及び荒川の水に加え、多摩川の水も利用できるようにしています。
金町浄水場及び三郷浄水場に続き、平成16年11月からオゾンと生物活性炭を使った高度浄水処理を導入し、平成26年3月に稼働した第二期施設と合わせ、現在、日量170万立方メートルの全量に高度浄水処理を導入しています。
また、平成17年4月から、PFI注事業により常用発電設備及び次亜塩素酸ナトリウム製造施設が稼動しています。
注 PFI(Private Finance Initiative)
公共部門によって行われてきた社会資本の整備、運営等の分野に、民間事業者の資金、経営ノウハウ等を導入し、効率的に社会資本を整備しようとする手法のこと。
三園浄水場(水道: 日量30万立方メートル)
利根川及び荒川の水を秋ヶ瀬取水堰から取水しており、平成19年10月から水道全量に高度浄水処理を導入しています。
なお、朝霞浄水場と同一のPFI事業により、常用発電設備が稼働しています。
東村山浄水場(日量126.5万立方メートル)
多摩川水系の貯水池から自然流下で原水を取水しており、この高低差が持つエネルギーを活用した水力発電施設が平成13年度に稼働し、浄水場で消費する電力の一部を賄っています。
さらに、浄水場が比較的高い標高に位置しているため、送水の大半を自然流下で行うことができます。
また、朝霞浄水場との間に原水連絡管を設置し、多摩川の水だけでなく、利根川及び荒川の水を利用することができ、平成22年3月から、利根川及び荒川の取水量の全量を処理できる規模の高度浄水処理(日量88万立方メートル)を導入しています。
奥多摩エリアは軟水です↓。
蕎麦や温泉地であれば美味しい水の産地です。日本は基本的にどこに行っても水が美味しい国です。
ナトリウム泉↓。
滝裏↓。
ザグリ珈琲店主は蕎麦のお仕事もしています。
蕎麦製粉会社の仕事
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当店では豆を購入なさるお客様へは珈琲抽出水のアドバイスをしています。現状様々な焙煎度合いと精製ごとに分類した珈琲液をテイスティングしていますが一括りに珈琲の硬水、軟水の推奨硬度を示すことはできません。人によっては非常に水に敏感で硬水でお腹を下してしまうこともあります。ちなみにSCAカッピング用水硬度レギュレーションも時代によって変遷してきています。硬度それぞれの成分の珈琲の風味に対する影響などの話はフレーバー教室限定です。
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