2024年10月18日 17:31最新の情報です

Qグレーダーとは

Qグレーダーとは

QグレーダーによるQグレーダーのためのQグレーダーに関する2024年秋の最新情報。キャリブレーション(更新)、リサーティフィケーション(資格回復)を含む記事。現在ネット検索でリスティングされる他者の情報は全て古く間違っている箇所あり、受講場所も変わっているためQグレーダーである私自身が備忘録を兼ねて記録しました。

「Qグレーダー」は、正式には下記の2種類があります。

CQI認定Qアラビカグレーダー:アラビカ種コーヒー豆の鑑定士資格
CQI認定Qロブスタグレーダー:ロブスタ種コーヒー豆の鑑定士資格

CQI〔Coffee Quality Institute〕が認定したアラビカ種/ロブスタ種のコーヒー豆の品質を評価する国際的に認知されたコーヒー鑑定士を指します。

コーヒークオリティインスティテュートは、教育の枠組みを通じて、コーヒーの品質と認証の共通言語を適用する世界標準の珈琲教育トラストです。

Qグレーダーの合格率は全世界の珈琲従事者の約0.016%と非常に低く、世界で約6,000人、日本では約200人位しかいないと言われています。更新試験も厳しいため一定の数をキープしているようです。

資格の有効期限

Qグレーダー資格は、初回のQグレーダー試験(全20科目)を受けた日から3年間(36ヶ月)有効です。これは初回の試験に合格した場合にも、リテイク期間にて合格した場合にも同様です。Qグレーダー資格を維持するためには、キャリブレーションテスト(資格更新試験)に合格する必要があります。

全10カテゴリーの試験概要を紹介します。全部で20種類ありますが全て合格しなければなりません。一度目の試験で不合格になった項目があった場合はリテイクと呼ばれるカテゴリーごとの再試験があります。リテイクも回数制限があり落ちると最初からやり直しとなる厳しい仕組みとなっています。

Qグレーダー試験概要

General Coffee Knowledge

コーヒーに関する一般的な知識を問う選択式の100問テストで制限時間は60分。筆記試験またはブラウザ上でのオンラインテストです。かつて熱海で受けた頃は紙の問題用紙でのマークシートテスト、最新ではオンラインテストです。期間中のやり直し不可。

Sensory Skills

コーヒー液は使用せず、溶液を単体または混合する舌の味覚の試験。濃度は3段階あり、2種類の試験(①各溶液の濃度順の並び替え ②各溶液の混合液に含まれている味とその味の濃度レベルの違い)です。アラビカは「酸味、甘味、塩味」の濃度違いの微細な液体の混合率。ロブスタには更に苦味が加わり4種類になります。溶液の濃度がわからないと自主練習不可。
Qアラビカグレーダーコース:Sweet-甘味/Salt-塩味/Sour-酸味
Qロブスタグレーダーコース:Sweet-甘味/Salt-塩味/Sour-酸味/Bitter-苦味

Olfactory

コーヒーに含まれることが多い36種類の香り(アロマエッセンス)を識別する嗅覚に関する試験です。香りのグループに分けて4種類。ロブスタとアラビカで、アロマエッセンスの種類が一部異なります。ロットによる細かな違いもあります。熱海で受けた頃は自習室でキットを使って覚えました。キットは日本では以前は入手困難でしたが今はオンラインショップなどで買えます。ただし試験での使い道がわからないと持っていても無駄かもしれません。2024年秋現在日本で唯一のICPであるSNOW BEANS .LABでは講習に申し込むと該当のフレーバーキットが送られてきますので買わなくても大丈夫です。
Enzymatic
Sugar Browning
Dry Distillation
Aromatic Taint

アロマキット

Triangulation

3つのカップから1つだけ異なるカップをカッピングによって識別。赤い光の暗室で行われます。精製方法や産出地域のグループ毎に分けられます。2024年よりレギュレーションが大きく変わりました。
Qアラビカグレーダーコース:①Mild ②Africa ③Natural ④Asia
Qロブスタグレーダーコース:①Latin America ②Africa ③Natural ④Asia—私が受験した時のカテゴリーです。変動有りだそうです。
ザグリ珈琲暗室カッピングルーム

Organic Acid Matching Pairs

クエン酸、リンゴ酸、酢酸、リン酸の4種類の酸を添加したコーヒー液を、カッピングを通じて識別する試験。1つのトレイ上に並べられた4つのカップから酸が添加されたカップの酸の種類を識別。赤い光の暗室で行われます。
Citric-クエン酸
Malic-リンゴ酸
Acetic-酢酸
Phosphoric-リン酸

Roasted Sample Identification

3つのカップから、1つだけ異なる焙煎度合いのコーヒー液をカッピングによって識別する試験です。焙煎はSCA基準パーフェクト、ライト、ベイクド、ダークの4種類。
Perfect(SCA/COLLECT)/Light/Baked/Dark

Green Coffee Grading

生豆(350g)3回のセッション、SCA(ARABICA)/CQI・UCDA(ROBUSTA)が規定するディフェクトを識別。

Roasted Coffee Grading

焙煎豆(100g)に対してクエーカー豆を識別。

Cupping

SCA方式(ARABICA)/CQI・UCDA方式(ROBUSTA)に基づきコーヒーの官能評価をするカッピング試験。精製方法や産出地域のグループごとに分類。スラーピング/スラーピングができていることが絶対条件です。また、フレーバーを表現するためにはFlavorwheelを全て覚えなくてはなりません。期間中のやり直し不可。
Qアラビカグレーダーコース:①Mild ②Africa ③Natural ④Asia
Qロブスタグレーダーコース:①Latin America ②Africa ③Natural ④Asia—私が受験した時のカテゴリーです。変動有りだそうです。

ファインロブスタカッピングフォーム

Flavor Activ

近年新しく加わった試験です。味覚でのフレーバーを識別する試験です。コーヒーに含まれる可能性がある14種類のフレーバーを、Qグレーダーとして認識できる能力があるかのテスト。溶液セットは大変高価で自主練習が不可能です。
Floral, Fruity, Molasses, Vanilla, Almond, Warming Spices, Bitter, Phenol Defect, Under-Ripe, Musty, Papery, Potato Defect, Sour
フレーバーアクティブ

キャリブレーションテスト(資格更新試験)

受験可能期間

Qグレーダー資格を維持するためには、資格有効期限の前後6ヶ月以内にキャリブレーションテスト(資格更新試験)に合格する必要があります。キャリブレーションテストに合格すると、試験日から新たに3年間(36ヶ月)有効期限が更新されます。
キャリブレーションテストは2回まで。

試験概要

Qアラビカグレーダーコース

カッピング #1:Washed Mild
カッピング #2:不明
カッピング #3:Natural

Qロブスタグレーダーコース

カッピング #1:Latin America
カッピング #2:Africa
カッピング #3:不明

カッピング3試験のうち、2つ以上の試験に合格する必要があります。キャリブレーションテストは2回まで。2回目のキャリブレーションテストが不合格だった場合、もしくは1回目の受験で3つのカッピング試験すべて不合格だった場合は、リサーティフィケーションテスト(資格回復試験)を受験する必要があります。

リサーティフィケーションテスト(資格回復試験)

受験資格

次の理由でQグレーダー資格が無効となり、再度Qグレーダー資格の取得復活を希望する場合はリサーティフィケーションテスト(資格回復試験)を受験することができます。

期間内にキャリブレーションテストを受験しなかった場合
1回目のキャリブレーションテストに合格できず、資格有効期限の前後6ヶ月以内に再受験しなかった場合
2回目のキャリブレーションテストに合格できなかった場合
1回目のキャリブレーションテストにて、すべてのカッピング試験が不合格だった場合

試験概要

Sensory Skills
Olfactory
Organic Acid Matching Pairs
Cupping(3種類)
Triangulation(3種類)
以上の全ての試験に合格すればQグレーダー資格回復。

全試験に合格できなかった場合、落第科目を再受験する必要があります。再受験に合格できなかった場合は、再度初めからQグレーダー試験(全20科目)を受講する必要があります。年々レギュレーションが変わったりするのでトレーニング最初からやり直すのもありかなとも思います。


日本では神戸UCCのMané Alvesトレーナーによる講習が行われていましたが、2024年10月を最後に廃止だそうです。2017年から2023年までは熱海のJAPAN COFFEE EXCHANGEにて行われていましたので熱海卒業生の割合は多いです。トレーナーによって教える内容が異なる場合があります。2024年秋現在日本でCQI(Coffee Quality Institute)からICP(In Country Partner)認定を受けているのは東京菊川のSNOW BEANS .LAB。ICPは世界各地にあるためCQIにログインすればいつどこで受講できるかがすぐにわかります。

インカントリーパートナー(ICP)は、Qグレーダーがアラビカ(スペシャルティ)とロブスタ(ファイン)の両方の業界基準を用いてコーヒーの品質を評価する拠点です。
世界各地にあるインカントリーパートナー(ICP)

Qグレーダーを初めて受ける方へ

Qグレーダーに関してネットで質問に答えることはできません。まずはカッピング(スラーピング)教室を受講ください。カッピング(スラーピング)はグレーダー必須のスキルです。その際質問があればわかる範囲で簡単にアドバイスすることはできます。

Qグレーダー取得記録はブログ化しましたので参考にしてみてください。
Qグレーダー取得しました

QグレーダーはCQIサイトにログインすると自身の成績などを確認できます。過去に遡って試験科目の点数やライセンス発行証のDBに接続可能です。
Coffee Quarity Institute


私は2021年に熱海JAPAN COFFEE EXCHANGEでアラビカの講習を受け、2024年に菊川のSNOW BEANS .LABでPaul KIMトレーナー指導のもとロブスタライセンスを取得しました。

A/R両グレーダーとなると日本では20人(2023年現在、2024年はもう少し増えてます)しかいないそうです。熱海JAPAN COFFEE EXCHANGE出身者A/R両グレーダー達のカッピングセッションをどうぞ↓。
Qグレーダーカッピング

また、全世界のQグレーダーを要請するトレーナー、インストラクターなどレベルの高い人達の存在も重要です。CQIは、品質評価とポストハーベスト加工の両方の技術を教える経験豊かな専門家を養成し、認定しています。CQIエデュケーターネットワークには、180名以上のインストラクター、アシスタントインストラクター、講師がいます。

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