「**水の硬度とアルカリ性(pH)**がコーヒー抽出にどう影響するか」について、焙煎度を「サンプルロースト(浅煎り)」を想定して解説します。
☕【前提】サンプルローストとは?
- 焙煎度:(Agtron値W63/G80-84)
- 特徴:
- 酸味が強く、豆本来のキャラクターがよく出る
- クロロゲン酸・キナ酸などの酸性成分が多く残る
- 焦げ・カラメル系の苦味成分はまだ形成されていない
💧【水の硬度】とは?
- 水に含まれる**Ca²⁺(カルシウム)とMg²⁺(マグネシウム)**の量を換算した値
- 多いほど「硬水」、少ないと「軟水」
区分 |
硬度(mg/L) |
一般的な味の印象 |
軟水 |
~60 |
スッキリ・優しい |
中硬水 |
60~120 |
バランスが良くなりやすい |
硬水 |
120以上 |
ミネラル感が強く、味が濃く出やすい |
⚖️【水のpH(アルカリ性)】とは?
- 水の酸性 or アルカリ性を表す指標(中性=7.0)
- コーヒーは基本的に「酸性飲料(pH4.5~5.0)」
pH値 |
特徴 |
pH 6.5以下 |
酸性寄り → 酸味が強く感じやすい |
pH 7.0 |
中性 |
pH 7.5以上 |
アルカリ寄り → 酸味が和らぎ、苦味やコクが出やすい |
🔍 では、サンプルローストで比較してみましょう!
条件 |
抽出された味の印象(浅煎り前提) |
軟水(低硬度)× やや酸性(pH6.5) |
明るい酸味が出るが、ボディが弱く、シャープになりすぎることも |
中硬水(Ca+Mgバランス良)× 中性 |
酸味・甘味・ボディのバランスがよく、豆の個性が一番出やすい |
硬水(高Mg)× ややアルカリ(pH7.5) |
酸味が抑えられ、コクや甘味が強調。やや丸みのある仕上がりに |
硬水(Ca過多)× アルカリ性強い |
酸が抑えられすぎ、苦味やミネラル感が前に出て雑味が出る可能性も |
☕💡 コツと実践のヒント
- サンプルローストの酸味を活かしたい → 軟水+中性寄り
- 酸味が立ちすぎてツンとする → Mgを含む中硬水+弱アルカリ性
- カッピング時に**“青っぽさ”や渋味**を感じたら、pHを中和方向に微調整
🔬 ポイント
- 「**硬度は“味の抽出力”、pHは“味の輪郭”**を調整する」
- 「硬度は音量、pHはイコライザーのようなものです」
- 「同じ豆でも水の硬度・pHで“フルーティ”にも“まろやか”にもなる!」