2025年05月02日 20:38最新の情報です

【必読】東京都の水の硬度について

【必読】東京都の水の硬度について

日本は軟水と言われます。果たして本当でしょうか?当店では珈琲や焙煎の教室もあり全国各地から学びに来る人がいますが水道水をペットボトルに入れて持ってきてもらいます。関西地方は確かに軟水の地域が多いです。しかし、東京はどうでしょうか?東京のコーヒー店の人と話をする機会もありますがほとんどの人は正確に答えることができません。そして東京の水は軟水だという人がいます。
珈琲抽出セミナー

当店の水の教室ではコーヒー業界の有名人が書いている本と違うことを言っているそうです。有名人に比べると当店は圧倒的に知名度が低く当方が出鱈目を吹聴していることになりかねないためこのページにしっかりまとめました。有名人もあながち出鱈目を言っているわけでもなく全ては公的機関の基準値に原因があるのです。度量衡に硬度換算を追加して欲しいくらい。

東京の水が軟水だと思っている人はよーくお読みください。勘違いを修正するいい機会です!

ちなみにこれから書くことは、東京都の区部の話です。武蔵野、多摩地域は水源が大きく異なりますので4/27のBLOG記事【検証】東京都の水道水は軟水?をお読みください。

まず最初に結論を申し上げますと

WHO定義前提で

東京都の水は「硬水〜非常な硬水」です。

日本の基準では

東京都の水は「中程度の硬水」です。

おまい何言ってんの?有名な●×COFFEE ROASTERの人や●●さんは軟水だって言ってたぞ!出鱈目ぬかすなーという人もいるかと思いますが、なぜなのかはこれから説明します。

まずは東京都水道局のサイトでお住いのエリアの水道水の硬度を調べる方法を紹介します。

東京都水道局に、配水系統~ご家庭の水道水情報ページが用意されています。
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/keitou

水道局画面キャプチャ
❶お住いの区域丁目をプルダウンメニューで選び
❷検索をクリック
❸給水栓をクリック

お住いの地域、店のある場所の水道の2枚の水質資料PDFがダウンロードできます。2枚目の資料の赤枠で囲んだ部分に「カルシウムイオンとナトリウムイオン」の量が表示してあります。
水質資料


通常、**水の「硬度」**というのは、

  • カルシウムイオン(Ca²⁺)と
  • マグネシウムイオン(Mg²⁺)

の含有量をもとに、一定の換算式で計算するのが世界標準です。

たとえば国際基準(WHOや米国EPA基準など)では、

  • 硬度 (mg/L as CaCO₃) = Ca × 2.5 + Mg × 4.1

というふうに、炭酸カルシウム(CaCO₃)に換算した値で表記するのが普通です。


ところが、

日本(特に東京都の水道局)では、
「カルシウム硬度+マグネシウム硬度=硬度」と単純に加算しているんです。
(炭酸カルシウム換算していない)

つまり、例として令和6年度4〜6月期の杉並区阿佐谷北の水道水

  • カルシウム硬度44.1 mg/L
  • マグネシウム硬度14.7 mg/L

なら単純に 44.1 + 14.7 = 58.8 mg/L を「硬度」と表示している。この数値は確実に軟水となります。

キリンの天然水
そうすると例えばペットボトル「キリンの軟水」の硬度「58mg/L」(WHO基準)と東京都杉並区の水道水の硬度はほぼ同じことになってしまいます。キリンの軟水は100mlあたりの表記なので1リットル換算でカルシウム13mg/L、マグネシウム6.2mg/Lだから水道水より少ないはずだぞ?いったいどういうこと??

しかし実際は東京都杉並区阿佐谷北の水道水は、

グローバル基準の計算式に当てはめると、「170.7mg/L」の硬水(WHO基準)になるのです!軟水なんてもんじゃない。マスコミはピーファスなんて騒ぐ前にこの硬度をなんとかしろと言いたいです。ペットボトルのミネラルウォーター硬度表示と見比べるとぐちゃぐちゃじゃないか!

前述の赤枠内水質検査結果を拡大して注釈しました↓
東京都の水質

【なぜ東京都(日本)ではこうしているか?】

  • 日本では、飲料水基準において「硬度」の正確な換算法があまり厳格に求められていない。
  • 実際には水質基準項目でもないので、”わかりやすさ重視”で単純加算方式を採用している。
  • そして、日本の水はもともと硬度が低い(軟水寄り)なので、細かい換算をしなくても大勢に影響がなかった。

という歴史的な経緯があるそうです。

硬度基準値

分類 WHOの基準 日本の一般的な基準
軟水 0〜60 mg/L 0〜100 mg/L
中程度の硬水 60〜120 mg/L 100〜300 mg/L
硬水 120〜180 mg/L 300 mg/L以上
非常に硬水 180 mg/L以上

まとめ:東京都杉並区阿佐谷北1丁目の硬度表示例

項目 4-6月 7-9月 10-12月 分類
カルシウム 44.1mg/L 53.8mg/L 47.7mg/L
マグネシウム 14.7mg/L 18.1mg/L 16.4mg/L
東京都基準
単純合算
58.8mg/L 71.9mg/L 64.1mg/L 軟水
WHO基準
係数換算
170.7mg/L 208.9mg/L 186.6mg/L 硬水〜非常な硬水

コーヒーはそのほとんどが水です。関西地方、水の柔らかい環境でコーヒーを飲んでいる人が東京に来ると水が硬いことに気がつきます。お風呂でのシャンプーのゴワつきにも気がつきます。水源を同じくする首都圏埼玉や千葉には東京よりも水の硬い地域もあります。そのため関西と東京では焙煎度合いは水に合わせて変えなくてはなりません。東京のコーヒー店の人も関西や名古屋に行くとこの水の違いと焙煎度に気がつくはずです。

ところが公的機関が東京の水は「軟水」と発表しているのですから訳が分からなくなるのです。確かに東京都が掲示している水の硬度は間違いなく軟水ですが、上の表で示すように実際はその数値は大きくかけ離れているのです。

水質は焙煎にも大きく関わってきますので特にロースターは水の硬度知見は必須です。

当店では珈琲店向けの水質検査や水の教室なども実施しておりますのでお気軽にご相談ください。水質もフレーバーも焙煎も日本独自のガラパゴスルールではなく国際ルールでやります!カルシウムイオンマグネシウムイオンナトリウムカリウムを実測した本物の「中硬水、軟水、純水」にて試せます。

水サービスのご案内

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硬度は店個別の水道設備によっても変わるし季節や天候によっても変わってきます。珈琲店に特化した日本で唯一の抽出水検査サービス。公的機関系企業が検査する高額な水質検査項目ではなく、珈琲鑑定士による珈琲抽出に直接関係する物質に絞りました。特に珈琲店を新しく始めようとする人、開業してからでは遅いです。珈琲は水の料理、豆より先にまずは水に一番コストをかけなければなりません。普通の水道業者では対応不可の珈琲専用浄水設備もお任せください。既に開業されている方も間違いを修正する良い機会です!

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水について学びます。季節による硬度変化や浄水器の種類、珈琲に及ぼす影響なども学びます。ネット上に転がっている「飲用としては」全く役に立たない熱帯魚や洗車用の純水情報ではなく、飲用としての正しく安全な水情報、珈琲用の抽出水をお伝えする日本で唯一の場です。珈琲業界にもひどく勘違いしておられる人がたくさん見受けられますのでまずは気軽に水から学びましょう。水のミネラルは余程のスーパーテイスターでない限りはわかりませんが当店独自の手法によって硬度違いの水が誰にでもわかる講座です。

硫酸マグネシウムなどを使った試薬ベースのカスタムウォーター講座ではありませんので安全に飲めます。ついでに試薬を使った最近の珈琲業界のやり方も教えます。

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国際的な珈琲大会の審査員も務めるFUKI KANAMORI氏を招いてのプライベートセミナーです。ブリュワーズと水質などしっかり学ぶ場です。水や珈琲抽出についてよくわからないまま趣味レベルで珈琲店を始めたばかりの人、教えてくれる先輩が居ないスタッフさん、店主さん、ロースターさん…etc…絶対受けた方がいいです。わからないことは学びましょう。私が水について学ぶきっかけを作ってくれたのがKANAMORI氏でした。

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