🧪 「KCl塩化カリウム」とは?
KCl塩化カリウム=ポタジウム(カリウム)は、抽出時に意外と重要な味の裏方として働いています。地味だけど、コーヒーの「まろやかさ」や「苦味の調整」に関わってきます。
- カリウム(K⁺)と塩素(Cl⁻)の化合物
- 水に溶けて完全に電離し、K⁺イオンとして作用します
- 天然のミネラルウォーターや、焙煎豆のミネラル成分にも微量含まれます

カリウム(K⁺)
カリウム(K⁺)はカチオン(陽イオン)の一種であり、水道水では微量でコーヒー抽出においてはあまり一般的には利用されていませんが、含まれているときには重要な役割を果たします。通常は炭酸水素カリウム(重炭酸カリウム)の形で登場することが多く、この場合は主に炭酸水素イオンの働きを目的として使用されます。 カリウムはコーヒーの風味プロファイルを大きく高める力を持っており、とりわけ、甘味やボディ感を高める効果があり、これはカルシウムと比較しても、より繊細かつやさしい方法で実現されます。 カリウムの影響は、カルシウムほど高濃度を必要としないにもかかわらず、非常に深いものがあります。特に注目すべきは、コーヒーの後味を劇的に向上させる能力です。カリウムは口の中に心地よく長く残る余韻を生み出してくれます。しかも、カルシウムの過剰含有時にありがちな「チョーキー(粉っぽい・チョークのような)」質感を生じさせないため、繊細な風味調整を目指す際に有効です。 しかし、他のミネラルと同様に、重要なのはバランス。適度なカリウムの濃度であれば、コーヒー体験を大きく向上させることができますが、過剰になると望ましくない結果を招くおそれがあります。
ちなみに測ってみるとわかりますが珈琲はカリウム含有量が多い飲み物です。400mg/L〜位はあり、当店で焙煎している中で最も多いのはエルパライソ で500mg/L位あります。スイカにも大量に含まれ、夏バテに効くとされます。

カリウムはコーヒーの風味プロファイルを大きく高める力を持っており、とりわけ甘味やボディ感を高める効果があり、これはカルシウムと比較して繊細です。 カルシウムほど高濃度を必要とせず効果があります。特に注目すべきは、コーヒーの後味を劇的に向上させる能力です。カリウムは口の中に心地よく長く残る余韻を生み出してくれます。

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したがって、カリウムをコーヒー抽出用の水に取り入れる際には、その有益な性質を最大限に活かしつつ、ネガティブな効果が出ないよう、微量で正確な測定と的確な判断が不可欠です。
当店ラボではそうした微量イオンを計測し、ミネラルとフレーバーの関連性の検証しながら珈琲抽出をしています。珈琲は科学なのです↓。

☕ カリウム(K⁺)がコーヒーに与える主な影響
| 項目 | 影響内容 |
|---|---|
| ① 味のまろやかさ | ナトリウム(Na⁺)ほど塩味を強調せず、苦味を和らげる |
| ② 電気伝導率の上昇 | TDSやEC値が高くなる要因になり、抽出効率にも関与 |
| ③ pHの微調整 | 酸性側にわずかに傾けることがあり、酸の輪郭を丸く感じさせる |
🔍 味わいの具体例(焙煎や抽出での違い)
| シチュエーション | K⁺の作用 |
|---|---|
| 硬水で抽出)Mg²⁺+K⁺) | 酸がやわらかく丸く感じる |
| 軟水でKCl添加(人工ミネラル水など) | ナトリウムよりも自然な塩味感、雑味が少ない |
| 焙煎豆の表面にK⁺が多い(中深〜深煎り) | コクのある苦味、角の取れた余韻 |
🔥 焙煎によるK⁺の動き
- カリウムは揮発しないので、焙煎後も豆に残る
- 焙煎が進むと細胞壁が壊れてK⁺が抽出されやすくなる
- 深煎りのコーヒーで抽出液のTDSが高くなる一因
💡 ポイント
- 「K⁺は苦味をやさしくしてくれる味の中和剤のような存在です」
- 「軟水でもKClをうまく使えば、味の芯を持たせることができます」
- 「Mg²⁺がシャープさなら、K⁺はまろやかさ担当です」